‟米ツアー挑戦”にもいろいろな背景がある 女子選手に大きな影響をあたえているもの

LPGA 日本女子プロゴルフ協会 女子

今年も女子プロゴルフ界のトッププレーヤーが、来季の米ツアー出場権をかけた予選会に挑戦します。

山下美夢有選手、岩井明愛千怜選手、原英莉花選手が、12月の米ツアー最終予選会に挑戦します。今季日本ツアーで圧倒的な強さを見せている竹田麗央選手は、先週の日米共催TOTOジャパンクラシックで優勝したことにより、来季からの米ツアーの2年シードを獲得できたため、予選会は不参加となりました。

日本ツアーで経験と実績を積んだ選手が、続々と米ツアーへの挑戦を目指すようになってきていますが、その背景にあるものは様々です。

キーワードは「日本ツアーでの複数年シード」です。

日本ツアーでの複数年シード

現在、米ツアーで戦っている選手の多くは、‟日本ツアーで任意の年から行使できる3年以上のシード権”を持っています。3年シードは、国内メジャー優勝や年間ポイントランキング1位で得ることができます。

また、同一年に国内メジャーで2勝したり、国内メジャー優勝かつ年間ポイントランキング1位になると、5年のシード権を得ることができます。

このようなシード権を持っていれば、「米ツアー挑戦が不本意な結果に終わるなどして、日本ツアーに復帰することになっても、出場権がある」となり、失敗を恐れずに挑戦しやすくなります。

今年の米ツアー最終予選会に挑戦する山下選手は2032年が行使可能期限となる5年シードと、2033年が行使可能期限となる5年シードを持っています。

同じく、2次予選会を突破し、最終予選会に挑戦する原選手は、2031年が行使可能期限となる5年シードと、2033年が行使可能期限となる3年シードを持っています。

現在米ツアーで戦っている選手は日本ツアーで以下のシード権を持っています。

今季米ツアーを主戦場にしていて日本ツアーで複数年シードを持っている選手
選手名 シード期間 行使可能期限
畑岡奈紗(※) 5年間 2030
渋野日向子 3年間 2030
西村優菜 3年間 2031
勝みなみ 3年間 2031、2032
吉田優利 3年間 2033
古江彩佳 3年間 2031
稲見萌寧(※) 5年間 2031

(※)畑岡奈紗選手は、日本ツアーを経ることなく米ツアーに挑戦。凱旋試合の国内メジャーで優勝し、シードを獲得。
(※)稲見萌寧は2021年の日本女子プロ優勝者だが、同年の東京五輪銀メダル獲得による5年シードが優先。

退路を断っている選手もいる

今季から米ツアーを主戦場にしている西郷真央選手は日本ツアー6勝の実力者ですが、国内メジャー優勝はなく、任意の年から行使できるシード権は、持っていません。

仮に米ツアーを撤退せざるをえなくなっても、日本ツアーにスムーズに復帰できる保証はないのです。

今年の米ツアー予選会に挑戦する岩井明愛、千怜選手も、国内メジャー優勝は無いので、シード権は持っていません。

TOTOジャパンクラシックのロゴ

今年も優勝は日本人選手か!?日米共催のTOTOジャパンクラシック開催中

最終予選会受験組にとって大切な1か月間

最終予選会に挑戦する選手にとって、これからの1か月間はより重要になってきます。山下選手も、岩井姉妹も、原選手も、実力を発揮できれば、来季の米ツアー出場権を得られるでしょうが、‟普段通り”にプレーできるかどうかはわかりません。

今週は米ツアーロッテ選手権が開催されており、原選手がスポットで参戦しています。以下の記事は、その原選手について書かれています。ご一読ください。

ロッテ選手権はアジア人選手と好相性 原英莉花は米ツアー最終予選会へはずみをつけられるか(SPREAD)
目次
  • アジア人選手が活躍
  • 初の米ツアー最終予選会
  • 要ショット精度向上
  • 昨年大会は23位タイ

6日からハワイ州のホアカレイCCで、ロッテ選手権が開催される。同じくハワイ州のコオリナCCでの開催となった第1回大会の優勝者は宮里藍だった。2位タイには韓国のミーナ・リー。