インパクトはアドレスの再現ではありません。両肩の位置も、腕の形も、腰の向きも、膝の位置も、すべてがアドレスとインパクトでは違った形になります。
しかしながら、一般のゴルファーはインパクトでアドレスの形を再現しようとする傾向にあります。「構えた形に戻す」といった感じのイメージを持ちやすいようです。
その一つの表れとして、両肩のラインが挙げられます。インパクト時、両肩のラインの傾きが大きくなるプロゴルファーに対して、アマチュアゴルファーの両肩のラインの傾きは大きくなりません。
アメリカのゴルフテックが公開しているデータには、インパクト時の両肩のラインの傾きが、プロは39度でアマは27.5度とあります。インパクト時、アマよりも体幹の左側が伸び、左肩甲骨が挙上しているのが、プロのスイングなのです。
一般のゴルファーの肩のラインの傾きが小さくなる理由と、理想的な肩のラインの傾きになるスイングについて解説します。
インパクト時 両肩のラインの傾きが小さくなる理由
アドレスを再現しようとする
バックスイングでは、クラブの遠心力が働き、右ひじや手首が曲がることで体の右側にクラブヘッドが流れていきます。この体の右側にきたクラブヘッドを体の正面に戻そうとすると、つまり、アドレスの形をインパクトで再現しようとすると理想的な両肩のラインにはなりにくくなります。
クラブヘッドを上から下に叩きつける
ボールをクラブヘッドで上から叩きつけようとすると、両肩のラインの傾きは小さくなりやすいです。クラブヘッドに意識を注ぎ、上から下に力を出すと、(右打ちの場合)右肩は高くなります。右肩が高くなる動きというのは斧を振り下ろすような動きのことです。こうなっては、両肩のラインはプロのように傾きません。
よく「アイアンはダウンブローに打つべき」と言われます。たしかにダウンブローで打つべきですが、クラブヘッドに意識を注ぎ、上から下に叩きつけるようなダウンブローは、効率よくボールに力が伝わるダウンブローにはなりません。
理想的なダウンブローは、グリップ軌道は下から上に上昇しながらインパクトを迎えます。‟ヘッドはダウンブロー、グリップはアッパーブロー”になるのです。
理想的な両肩のラインになる練習法
‟左サイドのリード”の感覚がつかめてくると、両肩のラインは理想に近づいてくるでしょう。体幹の左側を伸ばしながら、左腕や左脚の力を、使ってスイングすることで両肩のラインは適度に傾きます。
右サイドのイメージを持つとしたら、野球のアンダースローが良いでしょう。左サイドを開きながら体の右側でリリースするイメージは、ゴルフスイングに求められるインパクトのイメージに近いです。
また、インパクトからフォローにかけては、クラブを立てるイメージを持って練習すると、自然と両肩のラインが傾く感覚をつかめてくるでしょう。球筋は右に打ち出して左に曲がるフックボールを打つイメージで練習すると良いでしょう。