岡上貞夫著「ゴルフは名言でうまくなる(幻冬舎新書)」は、世界の有名プロゴルファーによるゴルファーにまつわる名言を集めたもので、上達志向のゴルファーにとって知っておくべき名言がたくさん書かれており、その名言の意味が詳しく説明されています。
今回は「スイングとリズム」についてです。「グリップとアドレス」編は下記関連記事よりご覧ください。
一流のプレーヤーを見れば見るほど、「スイングにおいてもっとも重要なのはリズムである」ということを信じずにはおれない。 by P・A・ワード・トマス
P・A・ワード・トマスは、イギリスのスポーツ誌のゴルフライターであった。冒頭の言葉は1965年に有名なThe Golfer’s Bedside Bookにゴルフ評論家として彼が寄稿した”The Qualities of Greatness”という評論の中に出てくる、なかなか意味深い名言だ
なるほど、P・A・ワード・トマスはゴルフライターだったのですね。どうりで初めて聞く名前なわけです。プロゴルファーのスイングはリズミカルです。
ただ、リズミカルの上に良い形があるのか、良い形をなじませた先にリズミカルがあるのかは難しいところだと思いますが、形に意識が行くあまり、動きがカタく、リズムが整っていないゴルファーは多いので、形と同じぐらいリズミカルは大切だ、ということは認識しておいた方が良いでしょう。
まっすぐなストレートボールを追求するぐらいなら、フックでもスライスでも曲げることに磨きをかける方がいい。 by 井戸木鴻樹
井戸木鴻樹プロは、ドライバーの飛距離は出ないながら、フェアウェイキープ率は1位の常連で、長い期間、ショットの正確さを武器にレギュラーツアーで生き抜いてきた選手です。
2013年には全米プロシニア選手権で優勝し、日本人としては樋口久子プロに次いで2人目のメジャーチャンピオンに輝いている。
ちなみに、樋口久子プロが優勝したメジャー大会は、全米女子プロゴルフ選手権(1977年)です。表題の言葉は「フックやスライスなど、意図してボールを曲げる練習をした方が、ボールをコントロールできるスキルが身につく。ストレートボールに近づけられる」という意味です。
この本の著者の見解としてこう書かれています。
スライス系のボールはほとんどの人が経験済みで、意図して打てる人も多いのではないだろうか。そのスライスボールを磨いて、曲がり幅の小さいフェードボールになるように練習するのが、ショット上達の早道なのである。
フック系よりランが少なく飛距離が落ちるが、正確性ではスライス系の方が有利だ。
ドライバーのフェアウェイキープ率が70%以上で、ツアーナンバーワンに君臨し続けた、カルビン・ピートや、冒頭の井戸木プロ、ウッドクラブの正確さでは敵なしだった杉原輝雄プロ、プロより正確といわれた中部銀次郎氏など、みなフェードボールが持ち球であったことを見ても明らかである。
「スライスを磨くことでスライスが武器になる」と言っているのですが、プロのつかまったスライス(フェード)と、弱弱しく右へ曲がっていく、アマチュアゴルファーのスライスを一緒に考えてはいけません。球をつかまえることができる(フックボールを打つことができる)ことではじめて”スライスを武器にする”ことができます。
ボールを捕まえるために不可欠なことは「フェースローテーション」です。
心の電池には限りがあります。なるべく節電しながらラウンドを進めるためには、冒険的なショットを狙わないことです。 by 中部銀次郎
心の電池には限りがあります。ラウンドの最初からドライバーで狭いところを攻めたり、アイアンでバンカー越えにピンを攻めたり、きわどいショットを狙っていくと、心の電池がすぐに消耗して18ホールもたなくなってしまいます
たしかにそうですね。故・中部銀次郎氏のような競技ゴルファーであれば尚のことでしょう。競技によっては、1日勝負のものもあれば、2日以上のものもあります。長丁場で、ハラハラドキドキのプレーをしていては、身がもちません。
また、そういった意味では、ロングパットで確実に距離感を合わせて次OKパットになるようにする、ということも大切です。セカンドパットが1.5メートルぐらい残り、ハラハラドキドキの2パットと、余裕の2パットでは心のすり減り具合に大きな差が生じます。
「心の電池」良い言葉ですね。「ゴルフは名言でうまくなる(幻冬舎新書)」では今回紹介したもの以外にも、たくさんの名言が紹介、解説されています。
ゴルフは名言でうまくなる(幻冬舎新書)
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