上達のプロセスは5段階 為末大 著「熟達論」

為末大著「熟達論」 ゴルフ本

‟上達”という言葉を当たり前の使いますが、上達するとはどのような状態になることを言うのでしょうか。ゴルフでいえば、スコアが良くなる、いい当たりが増える、といった結果がより良くなれば、それが上達でしょうか。

違う気がしますよね。

今回紹介する、為末大著「熟達論」は、上達(熟達)するとはどういうことかを問いかけながら、上達するために必要なことを示しています。為末氏は世界陸上のトラック競技で銅メダルを獲得したアスリートですが、スポーツに関してだけでなく「人」について学んでいます。

その為末氏が示す上達のプロセスは5段階。「遊」「型」「観」「心」「空」。それぞれの意味を知ることは、より意味のある練習、より良いゴルフの取り組みを後押ししてくれるでしょう。

為末大(Dai Tamesue) 略歴

1978年広島県生まれ。スプリント種目の世界大会で日本人として初のメダル獲得者。男子400メートルハードルの日本記録保持者(2023年6月現在)。現在は執筆活動、身体に関わるプロジェクトを行う。Deportare Partners代表。主な著作に『Winning Alone』『走る哲学』『諦める力』など。

一部引用

書籍の内容を一部引用します。

遊びが持つ不規則さは、状況が最適化され固定化することを防ぐ。遊びは主体性を生み、文脈に対して変化を起こそうとする。変化が起きることでそれ以降の世界の広がりが大きく違っていく。

型が創造性を壊すと言われることもあるが、実際には型ができるとそれを土台に表現できる範囲が増える。もっと言えばその技能を駆使することで新たな表現を思いつく。言葉を習得すればするほど表現の幅が広がるように、考えずに無意識でできる領域が広がれば、割いていた注意を別に割り振れるようになり、さらに豊かな表現ができるようになる。

うまくいくとは構造が機能しているということだ。ところが機能は目に見えず、目に見えているものは構造が生み出した結果に過ぎない。

過去に成功したのであれば何かはうまく行ったはずだ。ただ、成功要因が一体何なのかははっきりしない。だからこそ漠然とした成功体験の奥にある「中心」に迫り考えることが重要になる。

入ってくる情報がそれぞれの部分で判断され対応する。まるで脳が随所にあるかのようでもあるし、もう少し拡大するなら、川に流れる笹の葉に自らがなったようでもある。笹には意図がない。しかし、そこに意図があるかのように巧みに石を避けながら流れていく。本当の巧みさとは変わりゆく環境に合わせきることにある。

目次

まえがき
序 熟達の道を歩むとは
  • 「足を三角に回しなさい」
  • 教科書にはない「学び」
  • 熟達とは何か
  • 五段階の探求プロセス
  • 熟達は領域を超える
  • 熟達は機械に置き換わるか
  • 孤独と夢中
  • 熟達の喜び

第一段階 遊 不規則さを身につける

  • 最初に、遊びありき
  • 遊びとは何か
  • 不規則さを抱え続ける
  • 二つの報酬システム
  • 「面白い」に意味はいらない
  • 思いきり動く
  • 全力が先、制御は後
  • ごっこ遊びは、なぜ成立するのか
  • 失いたくないと守りに入る
  • 主体性の本質とは何か
  • 心の中の「子供」を守りきる
  • 変化とは文脈からずれること

第二段階 型 無意識にできるようになる

  • 型とは何か
  • 使える技能は無意識化される
  • 型は遊びを発展させる
  • 人間は覚えるより忘れる方が難しい
  • 型の力、癖の力
  • 柔らかすぎる人間
  • 模倣とは観察と再現
  • 型は丸呑みするもの
  • 型の良し悪しを見分ける
  • 憧れの罠
  • 型は個性を殺すのか
  • 時間を制する者が型を制す

第三段階 観 部分、関係、構造がわかる

  • 「見る」とは「分ける」こと
  • 「分ける」ことで、取りこぼすもの
  • 技能は別の技能に支えられている
  • 「うまくいく」とは、構造が機能していること
  • 身体全体で「見る」のが観察
  • 観察に影響を与える知識と経験
  • 熟達にはどのように時間をかけるべきか
  • 距離を取ることで見えるもの
  • 俯瞰の技術
  • 集中とは注意の固定
  • 第三者の視点で自分を見る
  • 頭で「わかる」と体験で「わかる」の違い
  • 「できる」から「わかる」へ

第四段階 心 中心をつかみ自在になる

  • 中心を柔らかくつかむ
  • 中心がわかると冒険できる
  • 自然体とは、自在になること
  • 「構え」のいらない世界
  • 滞りがないと、動きは美しい
  • リズムが連動を生む
  • 個性とはグループ内の差異
  • 「諦めること」で個性を生かせる
  • 成功体験からの脱却
  • 「もし」の力
  • 身体を介した言葉
  • 技能が創造性を解放する

第五段階 空 我を忘れる

  • 意識する自分からの解放
  • 身体に意識を明け渡す
  • 勘は論理を超える
  • 価値観からの解放
  • 一貫する私からの解放
  • 「空」の世界
  • 私という主体のに世界
  • 「空」の余韻
  • 「遊」に始まり、「遊」に戻る
あとがき
為末大 著「熟達論」
為末大著「熟達論」

参考価格:1,980円(税込)

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