スイングを徹底解剖 小澤康祐著「ゴルフスイング物理学 7つの上達ドリル」

ゴルフスイング物理学 ゴルフ本

ゴルフスイングを分解して、その詳細について解剖学やゴルフクラブの特性を踏まえながら、解説されている本の紹介です。タイトルは、ゴルフスイング物理学 7つの上達ドリル。著者は同じゴルフスイング物理学というタイトルで人気のYou Tubeチャンネル(2020年11月6日現在のチャンネル登録者数は5.64万人)を運営している小澤康祐氏。感覚論ではなく、普遍的にそしてロジカルにゴルフスイングをとらえて解いていくスタンスでゴルフと向き合っています。

そんなゴルフスイング物理学の内容の一部を、少しずつ引用しながら、その内容について解説していきたいと思います。ゴルフスイング物理学の世界をに少し覗いてみて下さい。

著者 小澤康祐(おざわ・こうすけ) 略歴

スポーツトレーナー。運動学、物理学などの視点でゴルフスイングを独自に研究。2015年より YouTube にて「ゴルフスイング物理学」のタイトルでレッスン動画を配信。その内容を書籍化した『ゴルフスイング物理学』(2018年刊、実業の日本社)は、これまでのゴルフ界の常識を覆す画期的かつ理論的な内容が話題を呼び、ベストセラーに。その理論をベースにゴルフスイングに適したカラダづくりの指南書『ゴルフ・ボディ・フィッティング』(同社)を翌年刊行した。現在は一般ゴルファーへの指導のほか、ティーチングプロの講習、ツアープロの動作改善指導なども行っている。ゴルフ以外のスポーツでも実績を残しており、野球では公立高校を甲子園初出場に導き、全国の指導者が指導法を学ぶ「愛知トレーニング交歓会」でメイン講師を複数回に渡って務める。子どもの姿勢改善指導を題材にテレビ出演、雑誌に取り上げられるなどメディアでも活躍中。出身地の長野県松本市を拠点に活動し、他4人のトレーナーとアスリートをサポートしている。1987年生まれ。

ゴルフスイング物理学 7つの上達ドリル

クラブの動きを最速にするには、重力を活かしながら、自分が縦に動くことが有効だ。「頭の位置を変えない」といった固定観念をはずし、ブランコをこぐようにしてクラブの動きを加速する。要はブランコの加速と同じ、上下動のタイミングだ。

クラブを吊り下げて、軽く左右に揺らした後、タイミングよく屈伸運動をすると、クラブが加速していくのが分かると思います。この時の上下の動きのイメージについてこの部分では説明しています。また、頭の位置を変えないといった固定観念をはずし~、とありますが、前後上下左右へ力を使いながら、動きを安定させるイメージを持った方が、結果として頭の位置が変わらないスイングを身に付けることができます。

地面反力を使っている、というよりも正確には、「使えている」選手は、地面反力を意識しては振っていないはずです。

ここで考えるべきは、「下半身の使い方のクセは上半身に原因があり、上半身の使い方のクセは下半身に原因がある」というスポーツ動作の普遍的な問題です。

最近「地面反力」というワードをよく耳に(目に)するようになってきました。地面を脚で蹴ってその力を腕に変換する、というものです。インパクト時にジャンプするように足が上がっている選手が増えてきたのも、地面反力が着目されるようになってきた一因と言って良いでしょう。

ただ、これの取り扱いには注意が必要です。ジャンプしている選手をまねて、脚で地面を蹴ってもイメージ通りのスイングにはなりにくいです。ジャンプしているように見えるのはあくまで結果。スイング全体がどういう流れになるのがよりボールに力が伝わるか、という観点が必要です。

【スイングを構成するトライアングル】3つの要素と6つの性質

要素 その1:面の制御 性質:閉じる
性質:引く
要素 その2:慣性の利用 性質:回旋
性質:交差
要素 その3:体幹の操作 性質:縦
性質:側

ここでは、表ではなくイラストを使って説明しています。ゴルフスイングに必要なポイントを細分化することで、必要な動きのイメージがより明確になります。たとえば、面の制御。多くのゴルファーはスライス、つまり面が開くことに悩んでいると思います。面を閉じることについて理解を深めることで良い方向に行けるかもしれません。フックに悩んでいるゴルファーも、閉じないようにするのではなく、閉じ方について見直す必要があります。

「シャフトを寝かす=シャローイング」は、ヘッドにかかった慣性の力で生まれた回旋の動きに合わせてカラダ(手)を動かすことで、自然発生的に起きるものなのです。

今年に入り、「シャローイング」というワードもよく耳に(目に)するようになりました。シャローイングとはダウンスイングでクラブを寝かせる動きのことです。しかし、それは意識して作り出すものではなく、色々な動きがリンクすると、自然となる動きです。ここでは、その点についても解説されています。

押し返される分だけ、先に動いておくこと。重心が先に動いて、あとから同じ方向に手を動かすと、釣り合いがとれます。そしてそれによって客観的に見ればカラダは止めておけるということになります。

軸の安定のためには、固定しようとしても固定されないので、クラブよりも先に体を動かすことで、軸が発生して安定する、と述べています。ただ、遠心力や重力との釣り合いや、クラブと体の引っ張り合いを考えた場合、かかる力とは反対方向に体のエネルギーを使うべき、といえます。その場合、バックスイングでは体のエネルギーを左方向に使うべき、ということになります。

この本で書かれているのは、「バックスイングでは先に体を右に動かす」というものですから、この点に関して今一度考える必要がありそうです。

ダウンスイングではヘッドの動きに大きな遠心力がかかるため、お尻を半個分ずらす動きをつくる必要があります。

頭とは反対方向にお尻を突き出すことで、バランスがとれる。この感覚がダウンスイング時に側屈しながら前傾角度を保つカギとなる

多くのゴルファーは、インパクト時にアドレス時の前傾角度を維持できていません。その理由の一つがダウンスイングでのクラブヘッドの遠心力にうまく対抗できていない、ことが挙げられます。

ダウンスイングでは、後方(かかと側)から前方(つま先側)にクラブを振ります。よって、前方に大きな遠心力がかかります。この遠心力に体が持っていかれてしまい、前傾角度を崩してしまっているのです。

よって、遠心力がかかる方向とは反対方向に体のエネルギーを使うことで前傾角度を維持しやすくなります。

ゴルフスイング物理学 7つの上達ドリル 目次

  • 序章 3大条件から考える再現性の高いスイングの要素
  • 第1章 最新クラブとアスリートが到達した納得のメカニズム
  • 第2章 6つの性質こそ、結果のそろうスイングの構成要素
  • 第3章 7つのドリルで構成要素を分化して身につける
  • 第4章 6つの性質の組み合わせで対応能力を広げる
小澤康祐 著 ゴルフスイング物理学 7つの上達ドリル
ゴルフスイング物理学

参考価格:1,078円(税込)