ガレス・ジョーンズヘッドコーチの言葉島沢優子著「世界を獲るノート」

選手として成長するということ

たくさん練習をして、狙った場所にボールを飛ばせるようになったり、より遠くへボールを飛ばせるようになれば、それが上達や成長といえるかといえば、必ずしもそうではないでしょう。過程を大事にする、結果をフィードバックして未来につなげる、そういった中で論理的思考を得ることが、プレーヤーとしての成長につながります。

ではアスリートの論理的思考とはいったいどういうものなのでしょうか。島沢優子著「世界を獲るノートアスリートのインテリジェンス」では様々なスポーツのトップ選手や指導者達が、自身の経験をもとにアスリートが成長するために必要なことについて語っています。

日本ゴルフ協会ナショナルチームヘッドコーチガレス・ジョーンズ氏の取材記事もありますので、この本を紹介します。

ガレス・ジョーンズ　略歴

1971年英国生まれ。95年よりツアー選手として活躍した後、オーストラリア国立スポーツ研究所などを経て、同国ナショナルチームコーチなどを歴任。2015年10月から現職。世界基準の強化プログラムと育成論に定評がある。JGAナショナルチームメンバーなどアマチュア選手はもちろん、卒業した畑岡奈紗らプロ選手もサポートする。

アスリートの大成のためには「言語化」「自立」が大切

多くのトップアスリートには共通して「言語化する能力」があり、精神的に「自立」しているようです。技術的な部分や試合や練習メニューの計画など、その競技に関係するすべての物事について言語化でき、それを自立につなげているのです。

ガレス氏は以下の通り述べています。

プロフェショナルと、成長志向。二つのマインドセット（心構え）が日本のゴルフを進化させる。

プロは準備と計画がすべてだ。

例えばヤーデージブックには、グリーンの傾斜や想定されるピンの位置を書き込む。そして、ピンの位置へと伸びるまっすぐな上りのライン「ゼロライン」を書き込む。

練習ラウンドでショットの打つ回数が減ってもいいから、その作業を優先させるように。

と、選手に指導しているようです。なるほど、グリーンの調査は重要な準備ですね。

成長志向のマインドを持ってやっていこうと選手には話している。多面的であること。こちらからは何かをやれと指示するのではなく、あくまでオプションを提示します。

Players have to be independent（選手はすべからく自立していなくてはならない）

他の競技の指導者も選手の「自立」の重要性を語ることが多いと著者の島沢氏は述べています。日本のアスリートは指導者の指導に依存し過ぎているケースが多いということですね。

島沢優子（しまざわゆうこ）　略歴

ジャーナリスト。筑波大学体育専門学群4年時に全日本女子大学バスケットボール選手権優勝。2年間の英国留学などを経て日刊スポーツ新聞社東京本社勤務。1998年からフリー。『AERA』『東洋経済オンライン』などで、スポーツ、教育関係等をフィールドに執筆。少年サッカーの情報ウェブ『サカイク』の連載『蹴球子育てのツボ』は、2018年最も読まれたコラム第2位。
著書に『左手一本のシュート　夢あればこそ！脳出血、右半身麻痺からの復活』（小学館）『桜宮高校バスケット部体罰事件の真実　そして少年は死ぬことに決めた』（朝日新聞出版）『部活があぶない』（講談社現代新書）など。
日本文藝家協会会員。

世界を獲るノート　目次