パッティングレッスンの実績が豊富な大本研太郎氏のパッティングメソッドがまとめられた本の紹介です。パッティングは「感覚」の一言で片づけられがちですが、論理的にきちんと整理することが可能です。そして、正しく取り組めば、再現性高いストローク習得へと近づきます。
現在、黄金世代の臼井麗香選手や東浩子選手の指導をしている大本研太郎氏初の書籍「重心パッティングのススメ~再現性を高め、カップインの確率を上げる~」の内容の一部を紹介していきます。パッティングストローク分析システム「SAMパットラボ」やパッティング計測用ハイスピードカメラ「クインテック ボールロール」などのパッティング測定器で、プロ、アマ問わず測定してきたの膨大な量のデータを基にするだけでなく、身体の仕組みに焦点をあてて構築されたメソッドとなっています。
大本研太郎(おおもとけんたろう) 略歴
2007年に日本プロゴルフ協会ティーチングプロとなり、4スタンス理論やNSCAの最新メソッドなどの習得とゴルフスイングへの応用にも力を入れている。2012年にパットラボ恵比寿スタジオの立ち上げに参画し、プロパターコーチの第一人者として様々なメディアにも出演。ツアーコーチとしてプロやトップアマのコーチングも行う。レッシュマスター級トレーナー。
重心パッティングのススメの内容について
日本のパッティングの名手では、青木功プロや藤田寛之プロなど「ダウンブローで打つ」という選手が多いようです。一方、アッパーブローを推奨するコーチも少なくなく、フェースをこすり上げるようにして順回転をかけるというアッパーブロー派も存在するようです。ヨーロッパのツアープロの多くがアッパーブローで打っているとういう統計もあります。
結論から言うと、私自身はダウンブローでのインパクトを強く推奨します。
ここでは、一般的に言われている理想的なヘッド軌道に対して、その軌道云々の部分だけを見て判断せずに、パターのロフト角や、インパクト時のハンドファーストの度合いも踏まえる必要がある、ことを解説しています。
そして、多くのアマチュアやプロのデータを測定した結果を整理するとインパクト時のロフト角は0.5度程が理想的であることが分かったようで、そのためにはダウンブローでのインパクトが理想的と結論付けられているようです。
プロゴルファーでも全盛期のジャック・ニクラウスやミシェル・ウィーのように、前傾を非常に深くして構えるプレーヤーが存在しますが、私はあまり採用してほしくないアドレスです。
前傾が深くなることで、ストロークがストレート軌道に近くなりますが、一方で視界が狭くなるため、距離感が出しにくいアドレスになります。また、人体の中でも重く不安定である頭部を、深い前傾にすることで、アドレス姿勢全体のバランスも悪くなります。いわゆる前のめりになりやすいのです。その結果、腰も痛めやすくなります。
ここでは、パッティング時のアドレスの姿勢の取り方について、なぜそれが必要なのかといった部分まで細かく解説しています。パッティングに限らずショットもですが、多くのゴルファーはアドレスを軽んじる傾向にあります。「直立姿勢」から確認することで、ショットにもつながるアドレスの仕方が見えてきます。
直立姿勢から前傾してアドレスの完成に向かう局面についても、その時の注意点について「バランス」というキーワードを軸に述べられています。
10ヤードの距離をしつこく打っているうちに、目から入ってきた情報と、ボールの転がるスピード、ストロークのリズムや力の入り具合など、10ヤードを打つのに必要な身体の動きを体得することが出来ます。
コースラウンド前のパッティンググリーンでの練習では、まずは1つの距離を繰り返し反復しましょう、ということですね。距離は気にせず適当に狙うカップを定めて、カップに入れる(寄せる)練習をしているゴルファーが多いようです。しかし、バラバラの距離を打つだけでなく、1つの距離をより確実にタッチを合わせられるようにしておいた方が、コースラウンド中様々な距離にタッチを合わせやすくなります。
このように打ち方だけでなく、パッティング向上のためにはどのような取り組みが必要か、といったことについても触れられています。
ちなみに、これは普段の練習場(打ちっぱなし)でのアプローチ練習でも言えることです。20ヤードの看板狙ったり、50ヤードの看板狙ったり、そして30ヤードの看板狙ったり、といったランダムな練習以上に、一つの距離を反復する練習を積んだ方が、距離感が磨かれてコースラウンド中様々な距離に対応しやすくなります。
重心パッティングのススメ 目次
パッティングの誤解を解く
- 「パッティングに型なし」の意味とは
- ヘッド軌道は、ストレートかイントゥインか?
- 常に芯で打つべきか?
- ダウンブローがいいのか、アッパーブローがいいのか
- 距離感は振り幅でつくり、パンチを入れないという誤解
- パッティングで重要なのは、距離感か方向性か
- ゴルファーの大敵、イップスとは?
カップインが連発する重心パッティング
- 自分なりのパティングスタイルを確立しよう
- 重心をそろえて、安定感のあるアドレスに
- 安定感のあるグリップを作る
- 腕のかたちは五角形が基本
- パッティングストロークは7種類ある
- クセは友達。再現性を高めよう
自分に合ったパターの選び方
- 悪いストロークにフィッティングしても逆効果
- ストロークにあった重心角のパターを選ぶ
- ライ角フィッティングは正しいアドレスから
- シャフトの長さは前傾角度と、腕のかたちで決まる
- あまり知られていないパター重量の大切さ
- 転がりを決めるパターのロフト角
- ネック形状でボール位置が変わる
- 大型ヘッドはショートパットに有利
- パーツごとの重量バランスで振り心地が変わる
- 打感はボールとの相性も重要
- グリップでパットの方向性も変わる
パッティングの実践
- コース設計家の罠にはまらないために
- グリーンの大半は受けグリーン
- まずは最下点=6時をみつけよう。グリーンの傾斜の読み方
- 強めのタッチでカップインを狙おう
- スライスラインよりフックラインのほうがやさしい
- 強い傾斜での重心ポイント
- ドリル 練習グリーンで10ヤードの距離感を養う
- 緩まないインパクトを身につける「キャッチボールドリル」
コラム
- パッティングストローク分析システム「SAMパットラボ」
- パッティング計測用ハイスピードカメラ「クインテックボールロール」
- 重心配分と移動を科学的に測定「ボディトラック」
おわりに
大本研太郎 著 重心パッティングのススメ
参考価格:1,078円(税込)