通算113勝 ジャンボイズムに触れる
ゴルフファン待望の書籍が登場しました。ツアー通算113勝を誇るジャンボ尾崎選手のことを書いた「誰も書けなかった ジャンボ尾崎」です。著者は、ジャンボ尾崎選手の弟子でマスターズ出場経験があるプロゴルファーの金子柱憲氏。
テレビ番組によく出演している金子氏ですが、38年前の尾崎選手との出会いから今に至るまで、間近で見てきた金子氏だからこそ語れる、ジャンボ尾崎という人間、があります。
また、本の中ではエピソードなどの文章だけでなく、歴史を感じさせる写真も多く掲載されています。尾崎選手の弟の健夫選手や直道選手をはじめ、ジャンボ軍団や、尾崎と関わり合いが深かった関係者へのインタビュー記事もあり、読みどころ満載です。
最近は良き若手の指導者
原英莉花選手や西郷真央選手に代表されるように、最近は若手の指導に注力している尾崎選手。75歳になりましたが選手引退を表明しているわけではなく、モチベーションが上がってくれば、トレーニングや練習を積んで再びツアー会場に現れることでしょう。「まだ終わっていない」と、尾崎選手自身、思っているのではないでしょうか。
ジャンボ尾崎の言葉や振る舞い
ゴルフのことに関して、弟子などにも細かく指導することはないようです。重要なポイントだけ伝えてあとは自分で考えさせる、というスタンスのようです。
自分自身が、単に元プロ野球選手、ならではの身体能力だけを武器にしていたのではなく、学びによる知識によっても自分のゴルフを磨いてきたからこそ「考える力」の大切さを痛感しているのでしょう。
以下は書籍の中で尾崎選手のスイング理論に触れているところの引用です。
昔からジャンボは、よく「レートヒットできるようになればスイングが良くなっている証拠だ」と私たちに言っていました。
「レートヒットによる躍動感のあるスイング」には、いくつかの要素が必要になります。その中でも私の記憶に残る要素があります。それはバックスイングからダウンスイングに入る時の「タメ」、インパクトからフォローにかけた「右腰の抜け」、「右肩の抜け」「押し込み」の感覚、そしてスイング中の「右手の柔らかさ」、「左手の締まり」などの要素が上手く同調すれば、どんな個性的なスイングであっても問題ないとジャンボは考えているはずです。
尾崎選手の言葉を咀嚼し、振る舞いを見て学ぶことは、金子氏がそうであったように、若手選手にとって、最高の導きになるのではないでしょうか。38年前も今も、尾崎選手のベースにあるものは、ゴルフや選手達に対して真摯に向き合う姿勢でしょう。
「誰も書けなかった ジャンボ尾崎」は、ゴルフファンや、強かった頃の尾崎選手を知らない世代のゴルファーにも読んでもらいたい、要注目の書籍です。
金子柱憲 略歴
1961年生まれ、日本大学・早稲田大学院卒。83年のプロテスト合格後、ジャンボ軍団入り。同期の東聡選手と互いに刺激しあって自らのゴルフを伸ばしてきた。14歳でゴルフを始め、アマ時代には78年の高校時代にジャンボと同組でプレーした『日本オープン』ではローアマ、82年にはアジアサーキットの『韓国オープン』で並み居るプロを抑えて優勝している。96年には3勝して師・尾崎将司に次ぐ賞金ランキング2位となり『マスターズ』にも出場。99年には『KSB』で初日からトップを走って完全優勝して6勝目。愛称は「ちゅうけん」。師匠は尾崎将司。
第1章 ジャンボの教えは不変
- 躍動するジャンボチルドレンに重なる自分
- 夕食後の特打ち
- 時代を先取りしていたトレーニング
- 海外キャンプ
- マスターズに出たいと言った私にジャンボは……
- ジャンボのオンとオフ
- 素顔のジャンボ~義理人情~
第2章 実力を見せるジャンボチルドレンたち
- 強い実力者であれ、原英莉花への教え
- 結果第一主義の指導法 笹生優花&西郷真央への教え
- 「心技体」ではなくなぜ「体技心」なのか
- 良い球が出るのは良いスイング
- 伸びる選手と伸びない選手の差はどこで生まれるのか?
- なぜ、若者たちがジャンボを支持するのか?
- ジュニアへの教え
第3章 ジャンボは最強の指導者
- ジェットが見たジャンボ
- ジョーへの教え
- コングへの教え 飯合肇が見たジャンボ
- 東聡の目に写ったジャンボ
第4章 最強のプロゴルファー・ジャンボ尾崎
- 私が見て聞いたジャンボのスイング理論
- ジャンボとベン・ホーガンの思考
- 誰も真似できないジャンボのデータ
- ジャンボの試合から学び取ること
- 技術の追求だけでなく、クラブの追求も徹底していた
- ジャンボがカリスマたる所以
第5章 ファミリー目線から見えるジャンボの素顔
- 佐野木計至から見たジャンボ
- 宮下トレーナーから見たジャンボ
- 尾崎智春から見たジャンボ
- 田中徳市から見たジャンボ
第6章 ジャンボの名言集
- 勝負にこだわらなければ、競技者ではない
- 練習では妥協するな! 試合は遊び心を入れろ!
- 慢心は、究極の精神状態だ
- 優勝を意識せずに勝つよりも、優勝を意識して負ける方が真の勝負師
●ジャンボのスイング分析 by金子柱憲
●【対談】尾崎将司×金子柱憲
●ジャンボ尾崎 113勝の軌跡
●あとがき
金子柱憲 著「誰も書けなかった ジャンボ尾崎」
参考:1,980円(税込)
- 75歳になったジャンボ
- 55歳になるカズ
- 終わるまでジャンボ、死ぬまでカズ
- 飽くなき探求心
75歳になったジャンボ
プロゴルフツアー通算113勝を誇るジャンボこと尾崎将司は1月で75歳になった。最後の優勝が2002年の全日空オープンで、そこから20年が経とうとしている。
2019年のダンロップフェニックストーナメントを最後に、試合出場からは遠ざかっており、原英莉花や西郷真央など、女子選手の育成に関して注目が集まっているが、尾崎自身、選手引退を表明してはいない。
75歳になったジャンボこと #尾崎将司 と、55歳になるカズこと #三浦知良。出場機会を若手に譲るべきと非難されることもある2人ですが、今後の選手生活をどう過ごし、終えるのでしょうか。
「終わるまでジャンボ」「死ぬまでカズ」 尾崎将司と三浦知良の共通点とは#SPAIAhttps://t.co/FnoF6OGXHc
— SPAIA[スパイア]公式 (@SPAIAJP) February 7, 2022