桜美式
福岡県でゴルフ道場を主宰している篠塚武久氏は、左手親指を右手の外に出すテンフィンガーグリップ、すなわち、ベースボールグリップであるべきという理論「桜美式」を提唱しています。
ツアー選手を含めて多くのゴルファーは「オーバーラッピンググリップ」か「インターロッキンググリップ」を採用しています。「テンフィンガーグリップ(左手親指が右手の平の中)」も認知されていますが、少数派です。
そんな中で、左手親指を右手の外に出すテンフィンガーグリップ。多くのゴルファーにとって理解しがたいグリップだと思われますが、篠塚氏のもとで育った選手が、ツアーの舞台で活躍しています。ツアー通算3勝(2021年5月17日時点)の時松隆光選手です。
さらに、今年プロデビューの清水大成選手も早速活躍。ジャパンプレイヤーズチャンピオンシップでは3日目終わって4位タイ(結果7位タイ)と、優勝争いに加わりました。女子では古江彩佳選手や西村優菜選手と同じプラチナ世代の後藤未有選手もテンフィンガーグリップで将来有望な選手として活躍しています。
篠塚武久(しのづかたけひさ) 略歴
1945年生まれ。福岡市のゴルフ道場「桜美ゴルフハウス」を主宰。福岡大学の大石迪夫(おおいしみちお)教授と共同で作り上げた‟桜美式”「OSゴルフ理論」で時松隆光プロなど、日本で活躍するトップゴルファーを多数輩出。篠塚本人も日本オープン4回出場などトップアマとしての実績も多数。工学部出身の知識を生かし、‟伝える道具”づくりが得意。
ベースボールグリップ(テンフィンガーグリップ)
そんな篠塚氏の著書「10本で握る テンフィンガースイング(ゴルフダイジェスト社)」を紹介します。内容を一部引用しながら、解説していきます。
人間は道具を使うとき、必ず利き手である右手を主役にします。
「左手リード」が原則としてある、従来のゴルフ理論に警笛を鳴らしています。右手の感覚を活用することが桜美式の土台となっているようです。
初心者やジュニアに、この「ゴルフスタンスで下手投げ」のドリルをしばらくやってもらってから、クラブに持ち替えてゴルフボールを実際に打ってもらいます。
腕を体に対して横に使うのではなく、縦に使うというのはとても良いイメージです。ここは従来のゴルフ理論と同じですね。
右手を殺してしまうことによる左手親指つけ根の亜脱臼の危険性があることも、大きなデメリットです。
これはオーバーラッピングやインターロッキングに対して述べられていることです。左手親指を右手の平で包み込むようにして握るグリップでは、左親指の怪我につながると警笛を鳴らしています。たしかに、小指、くすり指を主にしてクラブを支えるべきところを親指にクラブを乗せるようにクラブを支えてしまっているゴルファーは多いです。
スプリットハンドはドリルにも実戦にも効果的
左右の手を離して握るスプリットハンドグリップ。これは、桜美式関係なく、左手と右手の役割を体感するのに効果的です。
下記の記事では、ベースボールグリップの優位性についてまとめらています。ご一読ください。
- 時松隆光と清水大成の共通点
- 桜美式
- 多くのゴルファーが親指に力を入れすぎ
- 親指に頼らないことで物理的な力を使いやすくなる
時松隆光と清水大成の共通点
5月6日から9日に開催された西那須野カントリークラブで開催されたジャパンプレーヤーズチャンピオンシップは大混戦となった。3日目終了時点で首位と3打差以内に8人。その中にいたのがツアー通算3勝の時松隆光と清水大成だ。
大混戦となったジャパンプレーヤーズチャンピオンシップで優勝争いに加わった時松隆光と清水大成。この2人はベースボールグリップを採用。その優位性について解説しました
— SPAIA[スパイア]公式 (@SPAIAJP) May 24, 2021
練習ドリルとしても効果に期待 ベースボールグリップの優位性とは【ゴルフハウツー】#ゴルフ #SPAIAhttps://t.co/evZvrUyUfV
プロローグ
- ゴルフを簡単にするにはどうすればいいか?
- これがテンフィンガーグリップだ
- 右手を殺すなんていう常識をまず捨てよう
- ショットもパットも「ヘッドが走る」
- 「非常識軍団」桜美式がゴルフ界を変える
- テンフィンガースイングと今までのスイング
第1章 ゴルフの常識を手放す!テンフィンガーがゴルフにいい理由
- [どっちが簡単❶]テンフィンガー×オーバーラッピング
- 右手主導だから利き手が生きる
- 両手を‟グー”で握るとゴルフが簡単になる
- [手のひら]の力は強い!だからボールを遠くへ飛ばせる
- [どっちが簡単❷]手が返らない×手首を返す
- ヘッドが走るからインパクトが強い
- 手首を返さなくてもヘッドが走る
- テークバックもフォローもわきは開いていい
- 体をねじらないからスイングがシンプルになる
2章 右手主導の握り方 テンフィンガーでアドレスする
- 生命線にグリップを当てて握る
- 親指は入れない、シャフトだけ握る
- [どっちが簡単❸]半身の構え×スクエアスタンス
- 右手が生きる握り方をマスターしよう
- グリップありきでセットアップする
3章 ゴルフは打つんじゃない
- 刀で切るようにクラブを振る
- 球は「打つ」ものではなく「切る」ものだ
- グリップは左手からではなく右手から握ること
- [どっちが簡単❹]コンパクトトップ×オーバースイング
- 右手のひらが上を向くと足の裏が使える
- 腕をねじらないフォローをマスターする
- 利き手リードが上達する練習法
- 人差し指の特殊な機能を生かす
- スイングリズムが良ければショットの再現性が高まる
4章 ショートゲームも10本指 アプローチもパッティングも簡単
- 右手を積極的に使うのが「桜美式」パッティングスタイル
- よく入る、釣り鐘式の「ライジングパット」
- パットが入る理由はボールの転がりがよくなるから
- ボール「芯」とフェースの「芯」で打つのは難しい
- アプローチの距離感はロングパットと同じ
- 45度のクラブで転がして寄せる
- 右手重視だから‟上げるショット”も打てる
- スプリットハンドはドリルにも実戦にも効果的
- バンカーショットも‟刀イメージ”で
テンフィンガーに変えて成功したゴルファーたち
[あとがき]10フィンガーの「桜美式」はいつまで進化し続ける
篠塚武久 著「10本で握る テンフィンガースイング」
参考価格:815円(税込)