ブランドに変えたビジネスストーリー 野地秩嘉著「名門再生 太平洋クラブ物語」

太平洋クラブ物語 ゴルフ本

高まり続ける太平洋クラブの価値

2012年に経営破綻し民事再生手続きをした太平洋クラブをパチンコスロット業界で事業を拡大していたマルハンが買収しました。そして、見事再生に成功。太平洋クラブの価値を高め、売り上げを伸ばしていきました。

どのようにしてマルハンは再生に成功したのかを、太平洋クラブスタッフへの取材で聞かれた現場の声もまじえながら解説しているのが、野地秩嘉著「名門再生 太平洋クラブ物語」です。

パチスロ業界で確立されたサービスノウハウ

2013年、太平洋クラブ18コースの来場者は約67万3000人で、売り上げは約88億3000万円でした。それが2021年はコース数は変わらずに、来場者数が約83万2000人、売り上げが123億6000万円になったのです。

これだけの増収は、あらゆる商品やサービスの品質の向上にこだわった努力の結果です。太平洋クラブの社長に着任した韓俊(ハンシュン)が、コースメンテナンス、キャディ教育、レストランの改革などに注力しました。それらを重要視し、時に投資をいとわないお客様第一主義の考えは、パチスロ事業で確立されたものです。

太平洋クラブに行きたくなる

この本を読めば太平洋クラブに行きたくなるかもしれません。男子プロゴルフトーナメントの三井住友VISA太平洋マスターズが開催される太平洋クラブ御殿場コースは、すでに多くのゴルファーの憧れのコースですが、その憧れは一層強まるかもしれません。

太平洋クラブはメンバーの紹介が必要で、プレー代が高いコースが多いです。でも、誰でも予約でき、プレー代もソコソコのコースもあります。読んで行ってみたくなったら、ゴルフ仲間と太平洋クラブでのラウンド計画を立ててみると良いでしょう。

著者略歴

野地秩嘉(のじ・つねよし) 略歴

1957年東京都生まれ。早稲田大学商学部卒業後、出版社勤務を経てノンフィクション作家に。人物ルポルタージュをはじめ、ビジネス、食や美術、海外文化などの分野で活躍中。『TOKYO オリンピック物語』でミズノスポーツライター賞優秀賞受賞。『キャンティ物語』『サービスの達人たち』『なぜ、人は「餃子の王将」の王将の行列に並ぶのか?』『高倉健インタヴューズ』『トヨタ物語』『スバルヒコーキ野郎が作ったクルマ』『日本人とインド人』『京味物語』『警察庁長官 知られざる警察トップの仕事と素顔』『新TOKYOオリンピック・パラリンピック物語』ほか著書多数。

一部引用

(マルハンが太平洋クラブの再生に手を挙げたことについて韓俊は)「今でもよく言われるんですよ。『社会貢献でやられたんですね』、あるいは『ゴルフ場なんか儲からないビジネスなのびどうして始めたんですか?』……。
 その人たちにははっきり言いました。
『ゴルフ場はグループであればビジネスとして、チャンスがあります』と。
 やれる、儲かると思ったから社長になったんです。まずは利用者が喜ぶようにする。現場で働く人、株主にも喜んでもらえるようにする。そうすれば永続的に成り立つし、価値は上がる。社会貢献ではありません。太平洋クラブはゴルフ場のグループです。儲かる構造を持っていたから、借金さえなくなれば成功することは間違いないと思いました」

以下が太平洋クラブのいわゆる、イズムと呼ばれるものの総体だ。経営理念、ビジョン、社訓などからなる。

経営理念 人生にヨロコビを
 私たちは社業を通じ、人生に生きる喜びと安らぎの場を提供し、心身のリフレッシュと明日への仕事の糧となることを念頭し、幸せで希望に満ちた明るく楽しい社会づくりに貢献します。
ビジョン
 Top of the top ~日本が世界へ誇るゴルフクラブへ~
経営コンセプト(ブランドメッセージ)
 Our Club,Our Course.
社訓
 創意と工夫
企業姿勢
 業界のリーディングカンパニーであり続ける
事業方針
 ・高級な共通会員制クラブを創造する
 ・クオリティとオリジナリティを磨き抜き、コースの魅力を最大化する
 ・ゴルフファンを創造する
組織方針
 ・スポーツマンシップ
 ・サービスマンシップ
 ・クラフトマンシップ
社会貢献方針
 ・ジュニア層の育成
行動指針
 ・判断基準はお客様
 ・太平洋クラブファンの創造
 ・ベターではなくベスト
 ・依存ではなく自立
 ・競争ではなく共創
 ・誉めるストローク ~1%への着目~
 ・正しいことは正しい
 ・世界レベルで考える

目次

名門再生 太平洋クラブ物語 目次
  • プロローグ 2021年 三井住友VISA太平洋マスターズ最終日
  • 第1章 太平洋クラブとその歴史
  • 第2章 韓俊の挑戦
  • 第3章 イズムとクリンネスから始まったこと
  • 第4章 改革は続く
  • 第5章 改革の仕上げと町の中のコース銀座
  • 第6章 達人たちの改革体験
  • 第7章 改修の話 御殿場、八千代と金乃台
  • 第8章 ゴルフ場の経済学
  • エピローグ 富士山とゴルフと林のなかの男
  • あとがき
野地秩嘉著「名門再生 太平洋クラブ物語」
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