より強弾道へ スライス撲滅のために必要なチェックポイント

ゴルフスイング スイング

「スライスしなくなればスコアがまとまるのに」と、特にドライバーではスライスに悩んでいるゴルファーは多いでしょう。今回はそんなスライスに悩んでいるゴルファーがスライスを撲滅するためにチェックするポイントについて解説していきます。今後の取り組みに生かしてもらえればと思います。

まずスライスするかどうかは、インパクト時のヘッド軌道、フェース向き、打点、この3つによって決まります。この3つがどうなっているとスライスするのかは次の通りです。

スライスする3つの理由
  • ヘッド軌道がアウトサイドイン
  • フェースの向きがオープン
  • 打点がややヒール寄り

この3つは、小手先で何とか良くしようとしてできるものではありません。グリップやアドレスなど、根本的なポイントからチェックする必要があります。

これらの項目はそれぞれが独立したものではなく、つながっています。例えば、ヘッド軌道改良のためのポイントが打点改良のためのポイントにもなる、ことがあります。ですので、以下たくさんのポイントを列挙しますが、全部取り組まなくても、1つの取り組みで複数良くなる期待が持てます。必要以上に難しく考えないよう注意が必要です。

ヘッド軌道がアウトサイドイン

アウトサイドインとは

ゴルフ クラブヘッドの軌道

目標線に対して、外から内に引き込むようなヘッド軌道のことをアウトサイドインと言います。カット軌道とも言います。ちなみに、内から外に押し出すようなヘッド軌道のことをインサイドアウトと言います。内から内へ抜けていくヘッド軌道のことはインサイドインです。

アウトサイドインは、フェースでボールをこすってボールに右回転をかけてしまいます。細かく言えば、インサイドアウトの軌道でも、その軌道よりもさらに外(右)にフェースが向けば、スライスします。

ゴルフ テークバック トップオブスイング

9種類の弾道 インパクト時のヘッド軌道とフェース向き

アウトサイドインになる理由とその対策

前重心のアドレス

上半身が前のめりの前重心のアドレスでもアウトサイドインのヘッド軌道になりやすいです。体が回りにくくなり、結果、インサイドからヘッドをボールに向かわせることが難しくなります。また、テークバックでヘッドをインサイドにヘッドを引きやすくなります。すると、ダウンスイングでは、アウトサイドからヘッドが降りやすくなります。

前のめり、前重心のアドレス
対策

つま先側、かかと側、かたより無く、足裏全体で体重を支えるように構えます。上半身を前に倒して前傾姿勢をとるのではなく、お尻を後方に引きながら股関節から前傾します。こうすることで、安定し、体を回しやすくなります。例えば、不安定な足場で立つ場合、お尻を後ろに引いた(スクワットのような)体勢になると思います。お尻を後ろに引いて、前傾をろつことで体が安定するということを体が示しています。ゴルフスイングはスイング中、大きな遠心力が発生するので、その遠心力に負けないバランスでアドレスする必要があります。

ゴルフのアドレス 正しい前傾姿勢のとり方

右肩が前に出たアドレス

多くのゴルファーは右肩が前に出たアドレスになりやすいです。ゴルフグリップは右手が少し前に出た状態になるため、右肩が前に出やすくなります。また、ゴルフグリップは右手が左手よりも下になるので、右肩は左肩より下がった状態が自然ですが、その状態に抵抗感が生じ、右肩を高くしてしまうと、右肩が前に出たアドレスになります。

ドライバーではボールを左寄りに置きます。その左寄りに置いたボールに正対するとより右肩が前に出やすくなります。左寄りにボールを置く場合も、両肩のラインはスクエアが基準です。つまり右肩を前に出さないアドレスがベターです。

対策

グリップする時に、左手を前方からグリップに当てるようにすると、右肩が前に出たアドレスになりにくくなります。左肩が少しかぶった感覚になるかもしれませんが、それでちょうど良い場合が多いです。ボールの位置が左になるほど、スタンス幅が広くなるほど、右肩は下がった状態が自然なので、その下がった状態に慣れることも重要です。鏡を使って肩の位置や向きをチェックしてみて下さい

つま先側重心のダウンスイング

バランス良くアドレスできても、ダウンスイングではつま先側に過剰に重心が偏ることがあります。ボールに対しての打とうとする意識が強く働き、体がボールに近づいてしまうのです。クラブの遠心力にもっていかれてしまうことも理由として挙げられます。

ダウンスイングでつま先側に重心がもっていかれるということは、ヘッド軌道もつま先側(前方)にずれやすくなります。ということは、ヘッド軌道がダウンスイングで外側に外れるということなので、インパクトではアウトサイドインになります。

アマチュアゴルファーにとても多い動きです。

対策

切り返し前に少しボールから体を遠ざける意識を持つと良いでしょう。ボールから遠ざかろうとする体のエネルギーと、体をボールに近づけようとする力やクラブの遠心力が拮抗すると、良いバランスを保ってダウンスイングしやすくなります。

右足に体重が残ったダウンスイング

過剰に右足に体重が残ると、アウトサイドインになりやすくなります。素振りで、左足一本で立ってスイングした時と右足1本で立ってスイングした時とで比べてみて下さい。左足1本でスイングした時よりも、右足1本でスイングした時の方がアウトサイドイン傾向になるはずです。

対策

がむしゃらに左足に体重を乗せようとする、左足へのウェイトシフトを強めることはおすすめしません。連続素振りトレーニングがおすすめです。ゆったりとしたリズムで、振り子をイメージして、スイングを途切らせることなく左右に振り続けます。ゆったりとしたリズムを維持できると、体重移動も自然と行われます。リズミカルなスイングを意識することで自然な左足への体重移動を体感することができます。

フェースの向きがオープン

フェースの向きがオープンとは

インパクトの瞬間フェースの向きが右を向いている状態です。こうなると、スライス回転がかかります。細かく言うと、フェース向きが右を向いていても、ヘッド軌道よりも左を向いていると、スライスしません。むしろフック回転がかかります。

フェースの向きがオープンになる理由とその対策

左肘の引け

インパクトからフォロースルーにかけて左肘が引けると左肘が引けます。チキンウィングと言われたりします。チキンウィングになっているアマチュアゴルファーはとても多いですね。100人ゴルファーがいたらその内95人がチキンウィングと言っても過言ではないぐらいです。

対策

前腕の回旋が必要です。前腕の回旋の仕方やタイミングが間違っていると、左肘が引けてインパクト時にフェースがオープンになってしまいます。前腕の回旋はクラブの動きでいうとフェースローテーションです。

フェースローテーション関連記事はこちら

先述してきたアウトサイドインにならないための対策も効果的です。冒頭述べたように、違うポイントでもそれらのポイントはつながっています。

手首のこね

左手首が甲側に過剰に折れてしまう(左手の背屈、右手の掌屈)と左肘が引けます。左手甲側に手首が折れると、前腕を正しい方向に回旋させようとしてもできずに、左肘が外に向いてしまいます。

対策

前腕の回旋だけでなく、左手の掌屈(左手甲が丸まる)も意識しましょう。手首が複雑に曲がることになりますが、これが正しい手首周辺の動きです。ヘッドが手元よりも少し遅れて降りてくるダウンスイングである必要もあります。そうですハンドファーストインパクトです。

打点がややヒール

打点がややヒールとは

インパクト時にクラブフェースのやや根元側にボールが当たることです。フェースセンターから少しだけ根元側にずれたポイントが打点になると、ヘッド軌道やフェースの向きとの兼ね合いがありますが、基本的にはボールがスライスします。

ただ、ドライバーで根元すぎると逆に左にボールは飛びます。アイアンではシャンクします。

打点がヒールになる理由と対策

手が体から離れる

インパクトではアドレスしたところとまったく同じ位置に手を戻すことは難しいですが、アドレスしたところ付近に手を戻す必要があります。それを求める必要はありません。シャフトが縦にねじれることを踏まえると、無理があるとも言えます。

対策

腕の力を横(左)方向に使うのではなく、縦(下)方向に使う必要があります。ダウンスイングで腕を縦に使うと、ボールがある位置とは関係のない方向に腕を動かすイメージになるので、ボールに当たるのかどうか不安になるかもしれませんが、体の横回転が自然と入るので、自然にヘッドはボールに向かってくれます(もちろん、腕の動きのイメージは正しくてもエラーが起こればボールに向かいません)。

まとめ

今回はスライスする理由とその対策について解説しました。

スライスする3つの理由
  • ヘッド軌道がアウトサイドイン
  • フェースの向きがオープン
  • 打点がややヒール寄り

スライスを撲滅するためには、まずその原因を正しく把握する必要があります。そして、正しく取り組む必要があります。それをせずに、勘に頼って試行錯誤してしまうと、いつまでたっても思うような結果を得ることはできません。

冒頭述べたようにそれぞれのポイントは独立したものではなく、繋がっています。前重心になるとアウトサイドインになりやすいですし、打点がヒール寄りになりやすいです。よって、前重心が治まると、アウトサイドインも打点のヒール寄りも治まることがあります。何かが良くなると連鎖反応で他の何かも良くなる可能性があります。

一方、どこかが良くなった結果、スライスが一時的に悪化してしまうことがあるかもしれません。

そうなっても、慌てず、その時その時、現状を整理し続けましょう。スライスが治まらない時は、今回挙げたポイントを踏まえてみてください。