一般的に、ダウンスイングは「下半身リード」と言われます。上半身を回すよより先に「下半身を動かしましょう」「腰を回しましょう」と言われています。
上級者はやプロは、ダウンスイングでは力強く下半身から切り返しています。腰が鋭く回転してから腕やクラブが振り下ろされてきます。よって「ダウンスイングは下半身リード」は間違っていません。しかし、一般ゴルファーが注意すべきポイントがあります。
ダウンスイングで上半身より先に腰を回すということ
腰(腰椎)の可動域は5°
実は解剖学上、腰椎(腰)は5°しか可動域がありません。どれだけ柔軟性がある人でも、5°以上は回らないんです。5°しか可動域がない腰椎を無理に回そうとすると、上体がつられて回りすぎてしまい、上体の開きにつながってしまったり、腰の怪我につながってしまったりしやすくなります。
上体が開きやすくなる
ダウンスイングで5°しか可動域が無い腰を回すと、上体も一緒に回りやすくなります。しかし、上級者やプロは、腰は回転していながら、上体は回転せず開きを我慢しています。なぜそれができるのでしょうか。それは胸椎(胸)や肩甲骨周りの可動域が広いことが理由の1つとして挙げられます。
ここの可動域があることで、「腰は回っても胸は回らない」動作を実現させやすくなります。「腰は回っても胸は回らない」は、腰を基点にすると、「腰を回さずに胸を回す」になるからです。腰を回さずに胸を回すためには胸椎の可動域は必要ですね!
上記にある松山英樹選手の左から3つ目の写真を見てください。肩と腰の回転量に大きな差があることが分かると思います。おそらく松山英樹選手は胸椎や肩甲骨周りの可動域が広いのでしょう。
胸椎の可動域が狭いにも関わらず、意識してダウンスイングで上体よりも先に腰を回そうとしても、イメージしている動作を獲得できず、胸も一緒に回ってしまう、いわゆる「上体の開き」になります。
腰の怪我につながる
回らない腰を回そうとするのですから、腰椎に大きな負担がかかることになり、怪我に繋がります。先に述べた胸椎の可動域が狭い場合は尚更です。怪我をしてしまっては元も子もありません。
人ぞれぞれの可動域に合ったダウンスイング
解剖学的観点、人それぞれの可動域に応じたダウンスイング時の動作を獲得する為には、体幹主動が不可欠です。胴体全体を使った、お腹や背中の大きな筋肉を使ったスイングです。これができると、結果として人それぞれの腰椎と胸椎の可動域に合った無理のない下半身リードになります。
体幹主動により、腰が回転するタイミングや、左への重心移動のタイミングが、理想的なものに近づきます。
無理に上半身より先に腰を回さないようにしましょう。「理想的な下半身リード」は、腰一点の意識では難しくなります。全身の連動をよりスムーズにしていくことで「”結果的に”上半身よりも先に腰が回る」、それが理想的な下半身リードです。
「腰をどう動かすか」よりも「体幹をどう使うか」「胴体全体をどうしなやかに使うか」に焦点をあてましょう。