TRACKMAN(トラックマン)。誰もが認める超高性能弾道測定器です。TRACKMANは結構有名になったので聞いたことがあるゴルファー、さらには実際に計測したことがあるゴルファーは多いと思います。しかし、そんなTRACKMANも、最高水準で飛距離を計測する測定器、ということまでは分かっていても、それ以上のことはまだあまり知られていないようです。
すごいんですよ~、TRACKMAN。色々分かっちゃうんです!
TRACKMAN
TRACKMANはデンマークで開発されました。弾道ミサイル開発の技術を応用して作られました。理系職の世界のトップランナーの手によってTRACKMANは誕生しました。
一般的にTRACKMANが認知される前から、クラブメーカーやツアー選手の間では、認知されていました。有名なクラブメーカーのほとんどはクラブ開発の為に、昔からTRACKMANを活用していたでしょう。
ツアー選手は、トーナメント会場のドライビングレンジでTRACKMANで計測することがあったようです。しかし、15~20年前はまだ希少で、ツアープロでも当たり前のようには、測定することはできませんでした。
TRACKMANがトーナメント会場のドライビングレンジに持ち込まれた時には、設置打席は試合に出ているツアープロ達が行列を作って測定を待っているシーンがあったようです。
今では、選手個人でTRACKMANを所有する事が当たり前になってきています。15~20年前は1000万円程したものが今では200~300万円程で購入することができる事が大きく影響しています。
200~300万円で、成績が上がるきっかけをつかめる可能性を広がるのであれば、購入に前向きになりますよね。良いとは分かっていても、1000万円だと、ツアープロの中でも購入に前向きになれる選手は限られてしまいます。
いや、金額の問題だけではありません。
プロゴルファー達が”感覚依存”ではなくなってきていることも大きく影響しているといえそうです。昔のプロは球数打って体で覚える、的な風潮が今よりも強くありました。当然といえば当然です。スイングをカメラ(スマートフォン)で撮影する、というものの影さえ昔はなかったのですから。
しかし、徐々に効率性が求められるようになり、プロゴルファー達も、スイングとショットの因果関係を明確にすることを必要とするようになりました。
よって、スイングやショットを数値化できるTRACKMANが重宝されるようになったのです。「〇〇が□□になったから△△になった」とはっきり分かることに惹かれる選手達が、己のスキルアップに投資をいとわない選手達が増えてきました。
自分のゴルフを客観視する為に大きな力を発揮する、それがTRACKMANです。
TRACKMANで測定できる項目
TRACKMANでは主に次の項目を測定することができます。
ボールデータ
BALL SPEED(ボール速度)
インパクト直後に計測されるボールの速度。
CARRY(距離)
ボールが打ち出されてから落下するまでの距離
SPIN LATE(スピン量)
インパクト直後に発生するボールの回転数(毎分)
LAUNCH ANGLE(打ち出し角度)
インパクト直後、ボールが地面に対して飛び出している角度
SMASH FACTOR(ミート率)
どれほどクラブヘッドからボールにエネルギーが伝わったかを示す数値。〈BALL SPEED÷CLUB SPEED〉で導き出される
クラブデータ
CLUB SPEED(クラブスピード)
インパクト直後にクラブヘッドが移動している速度の値
DYNAMIC LOFT(動的ロフト)
インパクトの瞬間のリアルロフト
ATTACK ANGLE(クラブヘッドが進入する角度)
クラブヘッドの上下の軌道。アッパーブロー/ダウンブローの度合いを示す数値。
CLUB PATH(クラブパス)
インパクトを迎える直前からインパクトを通過した時のクラブヘッドの左右の軌道。インサイドアウト/アウトサイドインを示す数値
FACE ANGLE(フェース角度)
クラブヘッドがボールに当たる瞬間のフェースの向き。フェースのオープン(開き)/クローズ(閉じ)の度合いを示す数値
D-PLANE
TRACKMANにより『D-PLANE(ディープレーン)理論』が誕生しました。D-PLANEの『D』は、『Describe(説明)』の『D』です。
D-PLANEの誕生前は、クラブヘッド軌道(CLUB PATH)がボールの打ち出し方向を決める、というものが一般的な認識でした。しかし、D-PLANE誕生後は、クラブフェースの向き(FACE ANGLE)がボールの打ち出し方向を決める、ということが真実だと判明したのです。
打ち出し方向は、インパクト時のフェースの向きが7~8割、クラブヘッド軌道が2~3割、影響することが分かったのです!
例をおおまかに述べるとすると、D-PLANE誕生前は、クラブヘッドを右(インサイドアウト)に振れば、フェースの向きがスクエアであっても、右にボールは飛び出す、とされていました。しかし、D-PLANE誕生後は、クラブヘッドを右(インサイドアウト)に振っても、フェースの向きがスクエアであれば、まっすぐボールは飛び出す、ことが明らかになったのです。
※あくまで飛び出す(打ち出す)方向で、その後の曲がりは含みません。
ツアープロ達のTRACKMAN活用方法
ツアープロ達は、普段の練習からツアー会場のドライビングレンジでTRACKMANを活用しています。松山英樹選手は、飛距離のチェックしかしていないようです。クラブデータなどはあまり活用していないようです。飛距離の測定で最高水準の測定器だと信頼して、活用しているのでしょう。スイングに関しては、感覚と撮影したスイング映像を活用して構築していっているのではないでしょうか。
一方、TRACKMANのCLUB PATHやATTACK ANGLEなど、クラブデータを活用して、スイングを構築している選手も多くいます。感覚と数値の照合は、ツアープロの中で今後より一層、スタンダードになっていくのではないでしょうか。
TRACKMANに頼りすぎ、に要注意!
プロの世界だけでなく、ゴルフスクールや、ゴルフショップで一般のゴルファーもTRACKMANに触れる機会が多くなってきました。とても魅力的な測定器であることに間違いはありませんが、注意が必要です。
数値に頼り過ぎないように注意しなければいけません。小手先での数値の調整に躍起になってしまうと、スイングを崩しかねません。
例えば、CLUB PATHのデータからアウトサイドインの度合いが強い、という測定結果になったとします。そこから、単純に小手先でインサイドアウトにスイングしたところで、CLUB PATHのデータが良くなったとしても、求めている結果にはなりにくいです。
中長期的観点に立てば尚更です。
TRACKMANの能力を活用する為には、冷静に、的確に、現状を分析するスキルも求められます。いきなり1つの項目に飛びついたりせず、気になる項目と、他の項目や、データ数値以外(スイング映像等)を関連付けて、整理した上で数値を見つめる必要があります。
今後、更に、TRACKMANはゴルファーにとって身近な存在になる事が予想されます。
効果的に活用して、上達へと繋げましょう!