「アプローチは下半身を固定して打つ」そういう意識を持っているゴルファーは多いようですが、その意識は持たない方がよいでしょう。ただ、「ツアープロは下半身を固定して打っている」ように見えますよね。
今回は、プロ達のアプローチショットのスイングで「下半身を固定している」ように見える理由について解説します。
プロゴルファーのアプローチ
下半身があまり動いていません。下半身を固定して打っているように見えますよね。ただこれ、決して下半身を固定しているわけではありません。プロ達も、体幹主動で、すなわち下半身を動かしながらスイングしています。
下半身を動かしているけど、動いていないように見えているのです。
アプローチは、始動後すぐに切り返す
アプローチはスイングが小さいです。始動後すぐに切り返します。プロは多くのアマチュアと違い、下半身から切り返します。よって、始動後下半身が右回転を始めたと思ったら、すぐに左回転に入ります。
しかし、下半身は左回転しようとしても、クラブの遠心力がテークバックの方向、すなわち右方向にかかるので、下半身の左回転の力と、クラブの右への遠心力が拮抗し下半身が固定されているように見えるのです。
「固定している」と「固定しているように見える」ではかなりの違いです。
「①下半身の右回転」が入り、それが「②テークバック」につながり、「③下半身の左回転」へうつります。
アプローチショットの場合、①の後すぐに③に入ります。
しかし、③に入ろうとした時はまだ②の途中です。プロ、上級者はこのような②の途中で③に入るという「時間差」が生まれます。
③に入ろうとしても②の遠心力と引っ張り合うことで、下半身は左右どちらにも回転することなく「固定している」ように見えます。②の遠心力が小さくなり、③の下半身の左へ回転する力が上回った時、下半身の左回転が始まります。
これは多くのプロゴルファーは意識的にやっていることではありません。小学校低学年、さらには未就学児の頃からゴルフをしていているため、すべてのゴルフスイングが自然と体幹主動になり、体と腕やクラブの動きに時間差が生まれます。
よって、左右反対方向で引っ張り合う力が生じる為、アプローチショットのような小さいスイング動作では、下半身や体幹部が止まっているように見えるのです。
又、プロゴルファーが自分のアプローチショットのスイングを感覚で表現する場合「下半身を固定している」となるのです。しかし、一般のアマチュアゴルファーは「下半身を固定する」イメージを持たない方が良いでしょう。
なぜなら、プロ達がゴルフを始めた学齢が低い時とは違って、ある程度年齢がいってからゴルフを始めると自然とは体幹主動にならないからです。
意識して体幹主動スイングをしないと、下半身の回転とクラブの遠心力の引っ張り合い、は生まれないのです。
理想をそのままイメージしない
ほとんど、いや、すべての動きにおいて「見えている動き(状態)」の裏には「見えていない動き(状態)」があります。理想としてしている動き(見えている動き(状態))を、そのままイメージしないようにしましょう。
見えていない動きを知り、それをイメージすることで、理想的、かつ運動として適した動き(状態)になります。
今回の「アプローチショット時の下半身」の件でいうと、見えている動き(状態)が「下半身固定」で、見えていない動き(状態)が「下半身の回転」です。
体幹主動による下半身の右回転に導かれて、クラブが右に動き(テークバック)、体幹主動による下半身の左回転に導かれて、クラブが左に動く(ダウンスイング~フォロースルー)流れを構築することで、先述した下半身の回転と遠心力の引っ張り合いが生まれ、下半身が安定します(固定しているように見えます)。
プロや上級者が下半身を固定しているように見えても、下半身を固定するイメージを持たないようにするべきなのです。
自転車はこぎ続けないと安定しないように、建物の土台はガチガチに固めず可動性を持たせることで耐震性が確保されるように、ゴルフスイングも動かし続けることではじめて軸が発生し、土台(下半身)が安定します。
どれだけ短い距離のアプローチも、たとえ1ヤードキャリーのアプローチでも、体幹主動で下半身を積極的に使ってスイングしましょう。
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