パットはスコアに直結するカテゴリーですが、「ラウンド数をこなしてグリーン慣れしよう」「パットは場数がすべて」といった感じで、体で感じで覚えていくしかない、と、とらえられがちです。
たしかに感覚を磨くことは重要ですが、ただ単に多くのラウンド数をこなせばパットが上達するわけではありません。ストロークの基準を把握した上で、感覚を磨くことで、良い感覚に仕上がっていきます。
パット解析器「CAPTO(キャプト)」による測定をすることで、基準と現状の違いについて把握することができます。今回は「ストロークの時間」「ストロークの長さ」「加速度」の3つの、一般ゴルファーの傾向について解説していきます。
ストロークの時間
バックストロークの時間と、切り返しからフィニッシュまでの時間の比率の基準は1:1です。もう少し細かく分けると、バックストロークの時間、ダウンストロークの時間、フォロースルーの時間、の比率の基準は、2:1:1です。
シンプルな振り子の運動をパターがしていれば、この時間の比率になりますが、多くのゴルファーは、バックストロークの時間が長く、さらに、そのバックストロークの時間に対してフォロースルーの時間が長くなる傾向があります。
以下の画像は、バックストロークが0.63秒でダウンストロークが0.32秒、フォロースルーが0.46秒の測定結果となったキャプトのアプリ画面です。バックストロークに対してダウンストロークは基準値になっていますが、フォロースルーが長くなっています。
ストロークの長さ
バックストロークの距離とフォロースルーの距離は1:1が基準になります。しかし、多くの一般ゴルファーはバックストロークよりもフォロースルーの方が大きくなる傾向にあります。
また、一般ゴルファーはトータルのストロークの大きさが過度に大きくなりがちです。1:1でストロークしている人でも、バックストロークもフォロースルーも大き過ぎる場合があるのです。
シンプルな振り子の運動ができていれば、‟バックストロークもフォロースルーも小さめで1:1”となります。
手の加速度
加速度とは単位時間あたりの速度の変化率のこと。基準はクラブの切り返し時にはすでに、手はターゲット方向に加速しています。違う言い方をすると、手の切り返しは、クラブのバックストローク中に行われます。手とクラブの動きには‟時間差”があるのです。
また、インパクト時の手の加速度の基準は「0㎨」。クラブの重みと勢いだけでクラブがターゲット方向に進んでいく、というイメージになります。
肉眼で見ても、なかなかわかるものではないですが、パットに求められるのはショットと同じであるということが言えます。
以下の画像は、切り返し時の時間差が基準よりも小さく、手の加速度は0㎨が基準のインパクトで、ターゲット方向に手を加速させている、という測定結果となったキャプトのアプリ画面です。黄色の縦線がクラブの切り返しで、オレンジ色の線がインパクトです。
多くのゴルファーは、手の加速度が、切り返しで0㎨に近く、インパクトで手を加速させ過ぎています。切り返しで、バックストロークの勢いをすべて手が吸収して静止するような感じになり、ダウンストローク以降、手が動き過ぎる。そのようなストロークの傾向があります。
☆緑の線が基準となるストロークをした場合の線です。
クラブヘッドを目で追いすぎか
「ストロークの時間」「ストロークの長さ」「加速度」の一般ゴルファーの傾向を整理すると、多くのゴルファーは「クラブヘッドを目で追いながらコントロールしようとし過ぎ」ということや、「腕力で腕とクラブを一体化させてストロークしている」ということが言えそうです。
また、クラブの重みや慣性を使わずに、腕力でボールを押し出すようにして打っていることがうかがえます。だから、フォロースルーの時間が長く、動く距離が大きくなる傾向や、インパクト時にターゲット方向に手が加速する傾向が表れるのです。
例えば、「右つま先まで引いて、左つま先まで出す」といった感じで、振り幅を目で確認しながらストロークすると、リズミカルでテンポが良いストロークはできません。
また、「フェースの向きをまっすぐ保って」などと意識しても、動きがかたくなり、スムーズなストロークができません。
打つ前に、球の転がりやストロークの‟イメージ”を作ったらそれに浸って打つ。ヘッドを目で追いかけない。始動でクラブに力をかけたら、あとはクラブ任せ。こういった感じのことができると、再現性高い振り子の運動でリズミカルなストロークがしやすくなります。