2021年松山英樹選手とコーチ契約
今年4月、松山英樹選手が、日本人初のメジャー制覇をマスターズで達成しました。そして、今年から松山選手は目澤秀憲コーチと契約を結び、チーム松山に招き入れました。松山選手の能力や努力、トレーナーや帯同キャディーなど、これまでの歩みがあっての、悲願のメジャー制覇ですが、新たに加わった目澤コーチのサポートの力も大きなものだったのでしょう。
そんな目澤コーチが本を出したので紹介したいと思います。スイング理論だけでなく、目澤コーチ自身感銘を受けた、TPI( Titleist Performance Insititute) メソッドや、スイング作りに対する考え方などについて述べられています。
1991年(平成3年)2月生まれ。東京都出身。13歳から本格的にゴルフを始め、埼玉平成高、日本大学でゴルフ部に所属。大学時代に受講した「TPI(Titleist Performance Insititute)」のセミナーで、自身のゴルフ、スイングの考え方が“コペルニクス的転回”。アメリカに語学留学し、日本人では数人しか持っていない「TPIレベル3」を取得。プロコーチとして、2018年シーズンから河本結、その後、永峰咲希、有村智恵らを指導。2020年、松山英樹のコーチとなり、翌年4月のマスターズ優勝の立役者となった。
TPIメソッドの重要性
アメリカには「タイトリストパフォーマンス研究所(Titleist Performance Institute)」という研究施設があります。そこには、米ツアープロも訪れてデータをもとにトレーニングや調整をします。その中で得られる膨大なデータをもとに、様々なゴルフに関する膨大なデータによって確立された、科学的で合理的なメソッドがTPIメソッドです。
TPIの本部はアメリカですが、日本でもセミナーなどが開催されて、カテゴリーによってはTPIメソッドを学んだり、ライセンスを取得することができます。
目澤MAGICの内容
そこで教わったことは、それまでの自分が知っていたことはすべてが違っていて、人生で一番というほど衝撃を受けました。
2013年の秋に、初めて『TPI』のセミナーを受講したことで、文字通りすべてが変わりました。何がそれほどすごいのか、それを端的に表すとしたら、私が長年悩んできた「骨盤が前に出るクセ」が、その日、たった1日の講習で、ほぼ直る見込みが出てきたことに集約されます。
『TPI』のメソッドでは、最初に「スクリーニングテスト」という、スウィングに必要な体の各部の動きをチェックするセッションを行い、その後でスウィングの指導をするという手順になっています。
TPIメソッドで、一番「カルチャーショック」だったのは、スウィングをひとつに「規定しない」というところでした。ゴルフのレッスンというものは、「こういうスウィングをしひなさい」というお手本のようなものがあって、生徒は全員、そのスウィングを目指すということが普通だと思っていたからです。ところが『TPI』の場合は、問題点とその原因は特定するけれども、そこからどうするかはコーチと生徒が相談して決めていくイメージ。
ツアー選手になる夢を捨てて、ゴルフコーチを選んだ理由にTPIメソッドが大きく影響しているようです。この本では、目澤コーチの土台になっているTPIメソッドを絡めて、これまでのレッスンや学びの現場で構築されたゴルフ理論が述べられています。
第1章 プロコーチになった理由「ゴルファーをサポートするコーチの役目」
- タイガーのマスターズ優勝がプロを目指すきっかけ
- なじみの練習場で「運命の扉」が開いた
- プレーヤーかコーチか葛藤の末にコーチを選択
- プロコーチとして実績を積むなか、松山英樹から声がかかる
第2章 新世代レッスンの考え方「理想のスイングはひとつではない」
- できないことをやろうとしていませんか?
- 問題の「所在地」をはっきりさせることが重要
- 『TPI』のレッスンはスクリーニングテストから始まる
- スイングはひとつに「規定されない」
- スイングに一番大事な「キング」と「クイーン」
- 「問題点をすべて修正する」で”は上手くならない
- スイングは“白か黒か”で決めつけられない
第3章 ロジカル思考が重要「自分だけのスイングを作り上げる」
- スイングの「全体像」を把握することが大切
- 「正面衝突」を理解すると様々なことが見えてくる
- 「ロジカルなスイング」こんな要素を意識したい
- アドレス 左右の骨盤の高さをそろえた構えを意識する
- テークバック 腕で上げない。胸の回転を意識する
- トップ 形は人ぞれぞれ。自分の心地よさを最優先
- 切り返し 一番大切なのは「運動連鎖」の順番
- インパクト 打ちたい球筋で体とクラブの動きは変わる
- フォロースルー 打ちたい球筋によって左手の高さが変わってくる
- 左手甲の向きでフェース面を管理したい
- 左手甲が体の近くを腕と体が連動しやすい
- 左腰の「回転」と「スライド」。球筋によって違ってくる
- 「タメが早くほどける」のは「キャスティング」が原因
- 右の手首、左の手首。それぞれの動かし方がある
- スイング中のフェースの向きは『スイングパス』との関係で考える
- 『スウェイ』を止めたいなら意識するのは「腰」より「もも」
第4章 大切なのは目標設定「スコアをよくするための戦略を考える」
- モチベーションを保つには『適切な目標設定』が絶対に必要
- なぜ、すぐうまくなる人となかなかうまくならない人がいるのか
- 適切な目標設定には「正しい自己分析」が欠かせない
- 自己評価が低すぎても目標到達には時間がかかる
- アマチュアが目標にすべきはダボを避ける戦略的プレー
- コーチとして一番大事なスキルは「コミュニケーション能力」
目澤秀憲 著 「目澤MAGIC」
参考価格:1,430円(税込)