まずはこれまでのストーリーを振り返ってみましょう。
融通がきかず無表情、クラスメイトからはロボと呼ばれる高校生・鳩原呂羽人。ゴルフの知識はないがレーザービームのようなまっすぐな球を打てるロボは、超高校級ゴルファー・三浦鷹山と対戦したことで興味がなかったゴルフに目覚め、栄藍学院のゴルフ部に入部。その後、プロへ転向する鷹山と大舞台での再戦を約束したロボは自身もプロになること決意をする。そして3年が経ち、ロボはプロデビュー戦に臨んだロボ。トップタイで迎えた最終日、ロボになつく外国人選手・ドリアンと優勝争いに。ドリアンの型破りなパワープレイに加えて、ドリアンと友達になれた嬉しさと勝負を切り離せなかったロボはミスショットを連発してしまう。しかし、友達だからこそ本気の真っ向勝負をするべきだと思い直し、本来のプレーを取り戻す。高校3年間で磨きをかけた高い集中力と洗練されたスイングで神業ショットを見せたロボは、ドリアンを抑えて、見事プロデビュー戦で優勝を飾ったのだった!!
優勝者インタビューでキャディのトモヤに感謝の意を述べたロボ
インタビューで「すごかったのはやはり8番・9番の連続イーグルですね!」と投げかけたアナウンサーに対しロボは、「そうですね、8番のホールインワンは… キャディのトモヤ君の… 歩測が正確でした」と述べました。
キャディの”歩測”はとても重要な仕事です。
テレビ局で知り合う”ドン大熊”
男子プロゴルフツアーでデビュー戦優勝を成し遂げたロボは一躍時の人となり、ロボフィーバーを巻き起こします。テレビのスポーツニュース、新聞、雑誌で取り上げられることはもちろん、外で日課のランニングをしてもひとだかりができてしまうまでになりました。
テレビ出演
テレビ出演の依頼を受けたロボは、トモヤと共にテレビ局に入り、廊下を歩いていると後ろから「フラフラ歩いてんじゃねぇぞぉガキ!」とトモヤに身体をぶつけながらドン大熊が歩き去っていきます。
転んだトモヤを見て、イラっときたロボはドン大熊に詰め寄ろうとしますが、トモヤに「いいってロボ、たいしたことないから」と制されます。
ドン大熊
過去国内通算98勝で、賞金王に14回もなったプロゴルファー。一線を退いてからも日本のゴルフ界に多大な影響を与えるゴルフ界の首領。4大メジャーのひとつである全米オープンの出場権をかけた試合である『ヴァーミリオンバードマッチプレー選手権』の大会運営責任者。
アマチュア時代にロボの父親と対戦したことがあるようで、ロボの父親曰く「相手の弱点を見つけるのが上手くてそこにつけこんだプレーや威嚇めいた言動がとにかくやりづらかった。良くも悪くもプロ向きの性格」とのこと。
モデルはあのジャンボ尾崎プロか!?
描かれている風貌や、上記のような事を踏まえると、ドン大熊のモデルはジャンボ尾崎プロだと思われます。本物のジャンボ尾崎プロはまだ現役選手ですし、ツアーの大会運営責任者をしたことは筆者は聞いたことはありませんが、おそらくジャンボ尾崎プロだと思います。
現役時代のスイングの描写(フォロースルー)やファッションが、”まんま”です。
作中”ドン組”という、ドン大熊にゴルフを教えてもらいたいプロゴルファー集団が出てくるのですが、ジャンボ尾崎率プロにも”ジャンボ軍団”という、ジャンボ尾崎プロから教えを請いたいプロゴルファー集団が存在します。2018年9月現在もジャンボ軍団は健在です。
ジャンボ尾崎プロがヒール役に?
ドン大熊のことはあまり良い感じで書かれていません。横柄で、「俺はドンだ。ヴァーミリオンバードマッチプレー選手権の責任者でもある。機嫌は損ねない方がいいと思うぞ」と脅すようなことをロボに言ったりします。
キャラを立たせるためにヒール役をさせているのだと思います。風貌やスイング、実績などはジャンボ尾崎プロにそっくりですが、セリフは似ていません。
ちなみに、ロボはドン大熊におどされても「それとゴルフにどう関係があるの?」と意に介していません。
個性豊かなプロゴルファー達
栄藍学院高校出身で、ロボとは先輩にあたる烏丸草太もヴァーミリオンバードマッチプレー選手権に出場します。国内通算35勝を挙げて永久シードを所持し、前年度賞金ランキング1位で5年連続賞金王という絶対王者の不動隼人も出場します。
他にも、70歳となった今もなお、現役バリバリでレギュラーツアーで戦う鉄大二郎や、身長203センチの佐伯岳人などキャラクターの濃い面々が出場します。
不動選手にいたっては、男版『不動裕理プロ』であることは間違いありません。
不動という名字といい、絶対的強さといい、ザ・九州男児、といった感じの風貌は、作者が不動裕理プロ(熊本県出身)を意識していることをうかがわせます。
そして、ロボの高校時代の好敵手、朱雀恭介も出場します。朱雀は、アメリカのスタンフォード大学を卒業したてで、このヴァーミリオンバードマッチプレー選手権が、プロ転向デビュー戦となります(特別出場枠)。
試合の日でも朝はランニング
ロボは朝のランニングを日課にしています。それは試合の日の朝でも変わらないようです。しかし、それはロボだけではなく、ロボがマッチプレー1回戦で対戦する、久瀬銀狼もランニングが日課のようで、1回戦の日の朝、宿舎の前でランニング時に二人が遭遇します。
現実の世界でも、ツアープロの中には試合の有無関係なく、朝にランニングをしている選手は多いです。今はどうか知りませんが、タイガー・ウッズの全盛期は試合の日も朝ランニングをしていたようですし、先日、アジア大会で金メダルをとった中島啓太選手も、試合の日の朝にランニングをしているようです。
プロの世界で戦うには、テクニックだけ磨こうとするだけじゃダメだということですね。
1回戦スタート
「現実世界もこれぐらいになったらいいのになぁ」と思うぐらい、作中のゴルフ界は盛り上がります。魅力的なキャラクターがそうさせているのでしょう。入場制限も検討せざるをないぐらい、ツアー会場は大入り満員です。
繰り返しになりますが、現実の男子ゴルフツアーも入場制限かけるぐらい盛り上がって欲しいです。
久瀬銀狼のスイングはセルヒオ・ガルシアそっくり
筆者は作中のコメントで、
ゴルフスイングは一見みんな同じように見えるかもしれませんが、リズムやクセ、選手それぞれに個性があります。ちなみに、作中に出てくる何人かは実在する選手のスイングをモデルにしています。銀狼のスイングを見て誰か分かったらなかなかのゴルフ通
と言っています。
ロボが「ものすごいループとタメ」と思わずうなってしまう銀狼のスイングのモデルは『セルヒオ・ガルシア選手』だと思います。
※ループ:切り返しでクラブヘッドが8の字を描くこと。
※タメ:ダウンスイング時の親指と腕の間の手首の角度が鋭角であること。
ガルシアは世界の4大メジャー大会の1つである『マスターズ』チャンピオンであもあり、名実ともに世界のトッププレーヤーです。
The wait is over! 🏆🇪🇸 #TheMasters pic.twitter.com/zF5TxCFlFI
— PGA TOUR (@PGATOUR) 2017年4月9日
コースの罠に翻弄されるロボ
良いショットを打っているにも関わらず、コースの罠にはまり、思うようにボールを運ぶことができないロボは、その原因が分からずテンパります。考え込みすぎて、コースの池に落ちてしまうほどに……
テンパるロボを見て、キャディのトモヤは「なんとかしなきゃ」と思考をフル回転させます。
僕のキャディはトモヤじゃないとダメなんだ。大事な相棒で大事な友達。一緒に戦って賞金は半分ずつ。何も変じゃないよ?」という言葉を添えて、ダイゾンオープンの優勝賞金の半分を、キャディの報酬として自分にくれたロボの想いに答えようとするのです。
そして、トモヤがロボに提案した解決策は、「次から目をつぶって打て!」でした。
参考価格:440円(税込)