現在は日本だけでなく世界のトッププレーヤーと使用契約を結ぶなど、ゴルフボールブランドしてても盤石の地位を築いているブリヂストン。石橋正二郎氏がタイヤメーカーとして創業したブリヂストンでどのようにボール開発をして、今に至っているのか。これまで世に出してきた歴代のボールとともに、その歴史を振り返ります。
1932年 ゴルフボールの研究、開発に着手
ブリヂストンを創業して間もない頃、ゴルフが将来普及すると考えた石橋正二郎は若いゴム技術者2名を英国に派遣。ゴルフボールの製造技術の習得、製造に必要な諸機械の購入を命じました。ゴルフ人口がまだまだ少ない時代、正二郎はスポーツマンの兄の影響で1925年頃からゴルフを始めました。以来、ゴルフに魅せられ、国産ボールの製造に尽力するとともに生涯スポーツとしてゴルフを楽しんだようです。
1934年 ゴルフボール製造開始
1933年に竣工した5階建ての近代的なタイヤ工場の一角に、ゴルフボールの工場を設置しました。3年間もの研究を経て誕生した試作品をゴルファーへ提供開始しました。
1935年 ゴルフボール本格生産開始。第1号国産ボール発売 Bridgestone SUPER
第1号の国産ボールの価格は1球1円でした(現在の価格で約1,600円)。当時の大卒初任給90円、かけそば10銭と比較すると大変高価なものでした。
1952年 ブリヂストンの「真球と均一性」への挑戦
ボール製造拠点を久留米工場から横浜工場に移設。量産体制の確立と海外品に負けない高品質ボール開発に取り組みました。ゴム素材を比重調査し、ボールの中心と重心が一致しているかをチェックするなど完璧な球形、均一な品質を求めて、日々研究が行われました。
1956年に発売したBridgestone QはQuality(品質)のQを商品名に冠し、その性能、品質、価格から市場の人気をさらいました。
1963年 ブリヂストンの高品質ボールが高い評価を得る
1963年には優れた反発力と耐久性を実現した世界水準の糸巻き2層構造4ピース「EAGLE」を発売しました。「飛ぶ!プラス20ヤード」のキャッチフレーズで人気を得ました。
また、センターの形状を常にX線で検査、ボール中心と重心が一致した均一な品質のボールの製造に成功しました。
1977年 ネームの下にもディンプル
真球と均一性を求めるにはディンプルの占有率を高めなければいけません。従来はボールのネームプリントの下にはディンプルを配置できませんでしたが、印刷技術の向上により、ネームの下にディンプルのあるボール「AD REXTAR」を発売。ネームの下にディンプルがあることは今では当たり前ですが、当時では大きな発明でした。
1982年 ソリッドボール時代の技術革新
テンションをかけてゴムを巻く糸巻きボールでは硬度の安定や均一性に限界があるため、ブリヂストンはいち早くソリッドボールの開発に着手しました。
1993年 世界を変えたツアー用 ソリッドボール Reygrande WF
ソリッドツーピースの高い飛距離性能と糸巻きのコントロール性を両立したReygrande WFを発売しました。このボールを使用したニック・プライスが1993年、米ツアーで賞金王を獲得しました。1994年は、全英オープン、全米プロで優勝し、2年連続賞金王になりました。
ここから世界のツアーでブリヂストンのソリッドボールがセンセーションを起こします。ブリヂストンのボールが1996年のマスターズ(ニック・ファルド)、1998年の全米オープン(リー・ジャンセン)でも優勝球となり、4大メジャーを制したのです。
1994年 5年連続売上No1ボール ALTUS Newing
新開発二重カバー3ピース構造が、非常にソフトな打感と大きな飛びを実現しました。発売以来多くのゴルファーから絶大なる支持を得て、1994年から1998年に5年連続のベストセラーボールとなりました。
1994年から1999年 賞金王使用ボール
ブリヂストンのソリッドボールが94年から6年連続日本男子ツアー賞金王の使用球として活躍しました。
日本男子ツアー賞金王 | |
1994 | 尾崎将司 |
1995 | 尾崎将司 |
1996 | 尾崎将司 |
1997 | 尾崎将司 |
1998 | 尾崎将司 |
1999 | 細川和彦 |
1999年 シームレスディンプルの誕生
性能の均一性を突き止めていくと、ボールのつなぎ目(シームライン)も邪魔になります。よって、ブリヂストンで初めてのシームレスディンプルを使用した「TOURSTAGE MF452ミラクルフォーピース」を発売しました。
これにより、つなぎ目による空気の流れの乱れをなくし、より安定した飛びを実現しました。
2000年 世界初ウレタンカバーソリッド3ピース
世界で初めてソリッド3ピースボールにウレタンカバーを採用したPRECEPT MC TOUR PREMIUMが発売されたのが2000年です。プロが好む糸巻きボールの打感とアプローチスピン性能はそのままに、ソリッド3ピースの大きな飛びと耐久性が加わりました。
世界の多くのプロが糸巻きボールからウレタンソリッドに使用ボールを変更しました。ウレタンカバーソリッド3ピースの登場は、ゴルフボール界にとって革命的なものでした。
2002年に45年ぶりに日本がワールドカップで優勝(丸山茂樹、伊沢利光)した時に使用していたのは、ウレタンカバー3ピースのTOURSTAGE UXでした。
2022年 ブリヂストンボール開発90年
世界で展開するBRIDGESTONE GOLFブランドが2005年に米国で誕生し、本格展開をスタートさせました。BRIDGESTONE GOLFのボールはすでに世界のトーナメントで222勝を挙げていて、その性能の高さが証明されています。(2022年2月時点)
新商品TOUR B X/XSシリーズには、新開発のリアクティブ・iQウレタンカバーとハイドロLSコアを搭載し、さらなる「飛んで」「止まる」の両立を遂げています。
上記内容はジャパンゴルフフェア2022で出展されていたブリヂストンブースのパネルに書かれていた内容を筆者が編集したものです。