2017年12月4日にROBOT&LASERBEAM第3巻が発売されました。まずはこれまでのあらすじです。
※第3巻巻頭『STORY』より引用
融通がきかず無表情、クラスメイトからはロボと呼ばれる高校生・鳩原呂羽人。ゴルフの知識はないがレーザービームのようなまっすぐな球を打てるロボは、友人のトモヤからゴルフ部に誘われるがまったく興味なし。
そんなロボだが超高校級ゴルファー・三浦鷹山と対戦したことでゴルフに目覚め、栄藍学院のゴルフ部に入部し、レギュラーを目指すことに。空気の読めないロボは他の部員から反感を買ってしまうが、その非凡な才能を知った理音の後押しによって、スコア70台を出せばレギュラー決めの合宿に参加できることになった。そんな時、全国優勝校の東北国際高校と栄藍学院の練習試合が決定。高校最強の「帝王」朱雀から指名されたロボは、5対5のチーム戦に出場することに。10年間も同じ振り幅のスイングを練習し続けたロボの正確なストレートボールで、朱雀と互角の戦いを繰り広げる。しかし、朱雀は窮地から攻めの一打でチップインバーディーを決め、その実力を現し…!?
片手打ち
学校(おそらく屋上)で、栄藍学院ゴルフ部2年の烏丸草太が片手打ちの練習をしているシーンがあります。烏丸の日課のようです。右手1本にしろ左手1本にしろ、片手で打とうすると、身体でクラブの動きをコントロールできないと安定的にうまくボールをヒットすることができません。
俗にいう、”手打ち”になっていてはうまく打てないのです。
松山英樹選手、片山晋呉選手をはじめ、多くのプロゴルファーも大切にしている練習です。
しかし、ただ、「体主動で打てば良い」という訳ではありません。左手、右手、それぞれに別の体主動以外の重要なポイントがあります。
右手打ち
右手だけで練習する時は「腕と体との同調」を意識しましょう。インパクトゾーンで手と体の距離がアドレス時とあまり変わっていないかチェックしてください。手と体の距離を適正にするためには、右肘がインパクトからフィニッシュまでずっと曲げておくように意識すると良いでしょう。
肘(腕)は、ピンッと、まっすぐ伸びた方が良いと思っていましたか?
片手の練習では、振り幅を小さく、かつ、ヘッドスピードをあまり上げないで練習するので、遠心力が通常のスイングよりも小さくなります。よって、腕は伸びず、曲がったまま、が正解です。
曲がったまま、とは言っても、肘の外側が外を向かないように気を付けましょう。手でボールをヒットしようとしてしまうと、右手首をこねたり、右上腕が内旋してしまいます。こうなると、右肘の外側が外を向いてしまいます。
インパクトゾーンで右肘を曲げたままにしておくと、体と腕の同調を体感できますので、是非、トライしてみて下さい。
※プロゴルファーがフォロースルーで両腕がまっすぐ伸びた姿に憧れている人は多いと思いますが、クラブの遠心力に引っ張られて腕が伸びているだけで、自ら腕を伸ばしているわけではありませんっ!
左手打ち
左手だけで練習する時は「左前腕の外旋」を意識しましょう。ダウンスイング以降、左肘の外側がずっと下を向いているかチェックしてください。左前腕を外旋させるためには、ダウンスイングからインパクトにかけて手元のスピードを減速させる必要があります。手元が加速し続けてしまうと、スムーズに左前腕を外旋させる事ができません。
右手同様、フィニッシュまで左肘を曲げる意識が必要ですが、インパクトで右手よりも腕が伸びてしまうのはやむを得ない、として良いでしょう。しかし、フォロースルーでは、左前腕を外旋させた流れで、すみやかに左肘をたたむ(左肘の外側を内側に向ける)ようにしましょう。
※プロ、上級者ほど、タイミングよく手元を減速させられています。手元の減速とスムーズな左前腕の外旋はセットです。
片手打ち、地味です。最初はうまく打ちにくいので楽しくない練習です。でも、栄藍学院エース格の烏丸が日課にしているぐらい重要なのです。
最近の練習場では、「1球いくら」だけでなく「何時間でいくら」という「時間制限しての打ち放題」システムを採用している所も多くなってきました。そのシステムを使うときは、こういう練習をたくさんするといいでしょう(1球いくら、のところで片手打ちはもったいない気がしてしましますからね)。ただ、たくさんするといっても適当にパンパンパン片手で打たないようにしてください。アドレスをしっかりとって練習してください。
どんないい練習も、アドレスを粗末にしては意義が損なわれます。
片手打ちの練習で、正しい体の使い方をマスターしましょう!
プレショットルーティーン
19th round「変局」では栄藍学院2年烏丸草太と、東北国際1年の超飛ばし屋”化け物”瀬島薫の対戦シーンになります。
プロ、上級者は、実際のスイングや球質もさることながら、構えに入るまでの一連の流れがとても洗練されています。それをこのシーンでは言っています。
大事なんですよぉ、このプレショットルーティーン!
「うまいから構えに入るまでの所作が洗練された」「構えに入るまでの所作にこだわったからうまくなった」両方あります。「かっこつけてると思われそう」とかそういうことは考えず、まずは、この所作から覚えていくと、得るものがあると思います。
是非、プロの所作をまねて、烏丸のように同伴競技者を驚かせるぐらい洗練されたプレショットルーティーンを習得してください。
バックスピン
上記の烏丸のルーティーンを見て瀬島が驚いたシーンでは、そのルーティンの後、烏丸が強烈なバックスピンショット「紅蓮焔)を打ちます。
瀬島の心の声は次の通りです。
……低い!!のになんだぁ!?この目で追えるほどの遅さは!?球がワンポイント遅れて出てきやがった!!❞
なんてキレのバックスピン……!!一瞬マジで火が着いたように見えた……!!
いやぁ~、強烈なバックスピンがかかったショットを見事に表現してますねぇ。ちなみに「火が着いたように」はボールの強烈な回転によりグリーンの芝と摩擦を起こしている様を表現しています。まさにSPIN、です。
通常球を低く打ち出そうとすると、ロフトは立てないといけません。しかし、ただ単にインパクトでロフトを立てるだけだとこのシーンのようなバックスピンはかかりません。
バックスピン=ダウンブロー、という認識がありますが、ダウンブローだけではこのシーンのようなバックスピンはかかりません。打点、入射角、ヘッドの加速感、フェースのターン、バウンス角の有効活用、など、様々な要素が高い次元で融合して、はじめてこのシーンのようなバックスピンがかかります。
”フェースを開いて構えて、ロフトを立てながらインパクトをしてボールをつかまえる”という高等技術が必要です。
テクニックだけでなく、ウェッジとボールのスピン性能がないとバックスピンはかかりませんが、烏丸は相当なテクニシャンである事は間違いありません!
また、このシーンでは強烈なバックスピンショットを披露しただけでなく、そのボールがカップインして、チップインイーグルになるおまけつきです。
風に最後の一押しをされてカップインしたようです。烏丸は「風に助けられたね、ラッキー」と謙遜し、決してスペシャルショットを打ったそぶりはありません。
そしてこのホール、2オンしたものの3パットしてパーとした瀬島に対して烏丸は笑みながら、
飛べばいいってもんじゃないんだよ。のっぽ君
と言い放って次のホールへと向かうのでした。
地味な「プレショットルーティーン」と派手な「バックスピンショット」、ゴルフの深さとゴルフのエンターテイメント性を感じさせるシーンだったのではないでしょうか。
ROBOT×LASERBEAM 第3巻
参考価格:440円(税込)