黄金世代の2トップを見て思う ゴルフ英才教育のもろさ

ジュニアゴルファー ジュニア

東京オリンピック2020を控え、黄金世代を中心に女子ゴルフが活況です。全英女子オープンで優勝して社会現象を巻き起こしている渋野日向子選手や、渋野選手と同じ年で2016年にアマチュアで日本女子オープンを制し、今はアメリカでトッププレーヤーとして活躍している畑岡奈紗選手が、女子プロゴルフ界を引っ張っています。

黄金

黄金世代に関しておさらい

多くのプロやプロを目指している選手の多くは最初がゴルフ

多くのプロゴルファーは、小学校低学年からゴルフを始めています。競技歴の最初がゴルフです。タイガー・ウッズ選手のゴルフ歴は生後10か月からだと言われています。日本の永久シードの片山晋呉選手は3歳からゴルフクラブを握っています。

日本の女子2トップは野球とソフトボール

先述したように、現状、日本の2トップは畑岡選手と渋野選手です。2人には共通項があります。

「小学校高学年まではゴルフクラブではなく、バットを振っていた」

という点です。

畑岡選手のゴルフ歴は11歳からです。ゴルフ始めるまでは男の子達に交じって野球をしていました。強靭な下半身と強いスイングのベースはこの野球で作られたものでしょう。

渋野選手のゴルフ歴は8歳からですが、並行してソフトボールをしていました。渋野選手は、憧れのアスリートは「女子ソフトボールでエースとして、北京オリンピックで金メダルを獲得した、上野由岐子選手」というほど、ソフトボールが好きで中学時代も続けていたのですが、ソフトボール部の顧問の先生から「(競技的にゴルフの方が可能性が広がるから)ゴルフに絞った方が良い」と言われてゴルフ一本にしました。

渋野選手も畑岡選手同様、バットを振ることでゴルフクラブを振ることのベースを築いてきたのです。

早ければ早いだけ良いのは間違いないが……

あわや「我が子をプロゴルファーに」と、夢を描く親の気持ちは理解できます。しかし、だからといってひたすらゴルフだけ取り組ませるのは安易ではないでしょうか。

幼い頃から、ゴルフに浸かって成功した例も多くありますが、ジュニアの世界大会で高成績を挙げ天才ゴルファーと称されながら、その後大成しなかった日本人選手が多いのも、また事実です。

ジュニア期にスコアで負かしていた選手の体が大きくなってパワーをつけてくると勝てなくなってしまうのです。天才的にうまいジュニアゴルファーがいる割には、強いゴルファーが育っていないのです。

「心技体」順番的には体→技→心

心技体。順番的には①体②技③心です。

充実した体があってはじめて技が活きます。そして、技の自信が心を強くします。つまり、あらゆるテクニックも、プレッシャーに対する強さも、すべては充実した体があってこそです。その体の基礎を作るジュニア期にどういった取り組みをするか、が、その後のゴルフに大きな影響を与えます。

ゴルフだけならゴルフだけでもいい。ただ、走ったり飛んだりといった、体力トレーニングもやる必要があります。ボールを打っているだけでは、クラブヘッドをボールに当てることはうまくなったとしても、速い段階で進化が頭打ちになりかねません。

スイングはあとでどうにでもなる

トップがどうとか、体重移動のタイミングがどうとかは、あとでどうにでもなります。ジュニア期に大事なのは、アプローチやパターなどショートゲームの感性を育むことと、基礎体力をつけることです。

これら感性や基礎体力は、そう簡単にあとでどうにかなるものではありません。

ジュニア期に取り組むべきなのは、ボールを上手に打つ事以上に、クラブを強く振る体力、ハードな練習に耐えうる体力、理屈だけでは獲得できないショートゲームの豊かな感性、です。

ジュニアゴルファーや、ジュニアの親御さんは、このあたりのことも踏まえて、目先のスコアにとらわれず、ゴルフライフを過ごさせてもらいたいところです。