マスターズゴルフトーナメントが他の大会とは違うところ

マスターズ ロゴ 海外ツアー

海外男子ゴルフには4つのメジャー大会があります。マスターズ、全米オープン、全英オープン、全米プロ。その中で、マスターズはなぜ“ゴルフの祭典”と呼ばれているのでしょうか。マスターズ特有のものを知ることで、その理由の一端を垣間見ることができます。

毎回同じ会場

4大メジャー大会の中で、マスターズ以外は、毎年開催するゴルフ場が異なります。マスターズだけが、同一の会場、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブで開催されます。

最も多くのホールが、ゴルフファンの脳裏に刻まれているのはオーガスタではないでしょうか。数々のドラマを起こしてきた池越えパー3の12番ホールや、グリーン前がクリークのパー5の13番ホール、などとホールナンバーで実際のコースレイアウトがパッと浮かぶゴルフファンは多いはずです。

マスターズの歴史、すなわちオーガスタの歴史が更新されていくことで、ゴルフファンは、4月になれば、マスターズ、オーガスタ、となり、毎年より深く4月はマスターズモードになるのです。

グリーンジャケット

マスターズチャンピオンは、マスターズの表彰式では優勝カップを授与するようなセレモニーはありません。オーガスタの会長が勝者に前年の勝者がジャケットを贈る(着せる)のが習わしです。

ただ、マスターズ勝者は次年度のマスターズまで1年間だけ持ち出しが可能です。それ以降は、オーガスタに返却し、保管しなければなりません(返却後はオーガスタで着ることができます)。

2013年勝者のオーストラリア出身のアダム・スコットは、地元の大会に出場する時に着用したようです。タイガー・ウッズは一度着たら脱ぎたくなかったらしく、勝ったその日、ジャケットを着たまま寝たとのこと。

こうのようなエピソードもマスターズがゴルフの祭典と呼ばれる理由の一つと言えるでしょう。

チャンピオンズディナー

マスターズが開催される週の火曜日に、歴代のチャンピオン達だけで食卓を囲むディナーが開催されます。全米プロでもチャンピオンディナーはあるようですが、家族も招待できるようです。

マスターズのチャンピオンズディナーの方が、選ばれし者のみの集い、という色が濃いです。家族同伴も、それはそれで唯一無二の特別なものですが、よりクローズドなディナーの方が特別感がありますよね。

下の写真は、2021年のチャンピオン松山英樹選手がホスト役をつとめた、2022年のチャンピオンズディナーでの写真です。

マスターズ2022チャンピオンズディナー
出典:マスターズ公式ツイッター

ゴルファーなら誰しもが憧れる大会

日本ツアーの元賞金王、藤田寛之選手は、三田村昌鳳著「マスターズ その魅力と豆知識」で以下のように述べています。

「超名門クラブであるオーガスタは権威や伝統をひけらかすのではなく、むしろ選手たちがまるでその家に招待されて歓待を受けるという空気がありました。ですから、オーガスタの門に入るまでの『どうしよう。不安だ』という気持ちがクラブハウスに入ったとたんに吹き飛びました。(中略)コースに出て練習ラウンドをしても、試合で戦っていても、パトロン(観客)は無名の僕にまで温かい拍手をしてくれる。ずっとここにいたいな、1日でも多くここでプレーしていたいな、と思ってしまうんです」

このコメントからも、マスターズの現場で漂っている雰囲気が感じられます。もちろん、選手たちは戦っています。ただ、より上位を目指すことの意味だけでなく、その選ばれし者のみが立てている舞台の意味を強く感じられるものが、オーガスタ・ナショナル・ゴルフクラブにはあるのでしょう。

祭典の演者(選手)、祭典の観客(パトロン)。それぞれにとって、唯一無二の存在がマスターズゴルフトーナメントなのです。

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ゴルファー憧れのマスターズ・トーナメント