スイング中「頭の位置を変えない」の落とし穴

ゴルフスイング スイング

皆さんもご存じのように全英女子オープンゴルフ2019は渋野日向子選手の劇的な優勝となりました。それにしても”シブコフィーバー”はすごいですね。日本のゴルフ界、ゴルファーだけでなく、芸能界、さらには世界のゴルフ界でも大きなムーブメントを起こしています。

ただ単に「42年ぶりに日本人選手がメジャー大会に勝った」だけではこれだけのフィーバーは起きていなかったのではないでしょうか。なんといっても渋野選手の明るいキャラクター、笑顔の力によるものでしょう。

今回のフィーバーでは様々な話題がフォーカスされています。「タラタラしてんじゃねーよ(お菓子)」「幼少期はソフトボール選手だった」「岡山県出身」「ご両親は元陸上選手」などなど。

そして、「2年ほど前から新しいコーチに師事してスイング改造に取り組んだ」というものがあります。どういう改造に取り組んだかは、下記の記事を参照して下さい。

参考記事:インパクトが1年前と全然違う!渋野日向子のスイングを変えた、青木翔コーチの「頭に手をポン練習」ってなんだ!?(みんなのゴルフダイジェスト)

前傾姿勢の起き上がりを抑える取り組み

上記の記事によると、アドレス時の骨盤の前傾角度が崩れて起き上がり、インパクト時に手元が浮いて大きく左へボールを曲げることが多くあった、とあります。

そして、起き上がりを抑えるべく、コーチが渋野選手の頭を押さえて、前傾角度を維持しながらスイングする動きを体に覚えこませていった、と。その取り組みの結果、前傾角度が維持できるようになり、インパクト時に手元が浮かなくなり、インパクト時にヘッド軌道もフェースの向きもスクエアにしやすくなったようです。

この取り組みは、8月10日夜のスポーツニュース番組でも取り上げられていました。コーチが渋野選手の頭を押さえているシーンとともに。

「頭の位置動かさない」はプロ、上級者に効果的

この渋野選手の「頭を動かさない」という取り組みは、プロ、上級者に効果的です。プロ、上級者は、体幹と四肢の連動の質が高い傾向にあります。

よって、頭を動かさない意識を持っても、体幹の回旋や体重の移動、そしてリズムなどを失わずに済みます。

しかし、アベレージゴルファーは頭を動かさない意識を持つと、これらを失いがちです。アベレージゴルファーの多くは体幹を機能させきれず手先に頼ってスイングしているので、頭の動きを抑えようとすると、より体幹を使いにくくなり手先に頼ったスイングになりやすいのです。

原則的には頭が動かない体の動きを探るべき

スイング中、あらゆる方向に遠心力や重力がかかります。頭や上体、体の重心は、何もしないとその遠心力や重力などの外力にもっていかれるように動いてしまいます

ゴルフ テークバック トップオブスイング

テークバックではクラブが右に動けば体重も右足に乗る

外力と戦う、外力とは反対方向への力を自発的に使うことで、頭や上体、体の重心は安定します。つまり、右方向に持っていかれる部分では左方向への力を自発的に使う必要がある、ということです。

そんな中、「頭を動かさない」という意識では外力に負けてしまします。もしくは「頭を動かすまい」と過剰な力みになり、スイングの安定感を損なってしまいます。

頭の位置に限らず、ゴルフスイングは、基本的には「~~を動かさない」という意識は持たないことが望ましいです。

「動き過ぎ」と気になるところがあるのであれば、その動き自体を抑えるのではなく「~~を~~のイメージで動かすことで~~の動きを抑えよう」と、「動かすイメージを変えることで余計な動きを抑える」ことを目指したいところです。

その方が、一連のスイングの身体各部位の連動性、運動連鎖の質が高まります。