ピンチの時

ピンチで考える人 その他

日々目標を掲げて取り組む中で訪れるピンチ、コースラウンド中訪れるピンチ、ゴルフをしていると様々なピンチに遭遇します。

元プロ陸上選手で、世界選手権銅メダリストの為末大氏が『ピンチの時』について述べている記事がありますので、その内容を引用しながら、ゴルフに絡めたりもしながら述べてみたいと思います。


私のパフォーマンス理論 Vol9 ピンチの時(TMESUE『THINK』)

 

2008年の6月の日本選手権の時だった。この日本選手権で1位か2位になれなければ、五輪は絶望的となる状況で、その年のシーズン最初から私は下腿部の肉離れで試合に出れない状態が続いていた。そしてようやく治ってきてなんとか本番に間に合わせようという矢先に、反対側の下腿部を肉離れした。もう試合は1ヶ月前に迫っていた

あの時の感情を羅列してみると以下のようなものだったと思う。最後の五輪だと決めていたのに、どうしてこの瞬間にこんなことが起こるのか。なんで怪我をしたのは自分で、他の人ではないんだ。あれだけ気をつけて繊細にトレーニングを積んできたのに。これで結局本番走れなかったらどうなるんだろう。その後の人生はずっと後悔するんだろうか。応援してくれている人もがっかりするだろう。ライバルたちは今どうしているのだろう。快調に練習できてるんだろうか。できればみんな怪我をしてくれないか。自分は名前もあるし世論に訴えかけて、選考会をずらしてもらうということができたりしないか。またはものすごく低調なレースになってなんとかなるということはないか。もし負けるとしたらみんななんて思うんだろう。なんだあいつは結局最後は敗者だったなと言われるのだろうか。自分のメンツが保たれるいい負け方はないか。同情を買うような負け方をすればまだ社会の見方は和らぐのではないか

現状が思わしくない時は「なんでこんなに頑張ってるのに」「なんで自分だけこんな不運に見舞われるのか」「これまでの取り組みは無駄だったのか」と、「なんで――――」「どうして――――」「よりによって自分が―――」と、落ち込みがちです。

悪魔のささやき的なものが脳裏に浮かぶこともあるでしょう。今まで築き上げてきたものが大きければ大きいほどに。

 

目の前のことに没頭できるようになった。やれることを準備して、あとは本番を迎えよう。ダメだったらまたそこで自分にできることをやるだけだ。結局この時には本番はうまくいって五輪の出場権を獲得した

為末氏は本番までの1か月間で様々なものを経たのですね。

苦境に遭遇した時、いきなり目の前に没頭することはできません。苦境と対峙し向き合う体験をして行く中でそういうモードになることができるのではないでしょうか。なかなか体験しないと、「目の前のことに没頭」は難しいと思います。

私のこの体験はスポーツ心理学ではよく知られていて、コントロールできないものを意識するのをやめ、コントロールできることに意識を向けよという言葉で教わる。コントロールできないものの最たるものは他人と過去であり、コントロールできるものの最たるものは自分であると。だが、知識で知っていた言葉と実感とはずいぶん違っていた。体験した人にはよくわかる。一方でおそらく体験していなければほぼなんのことかわからない

体験していなければほぼなんのことかわからない。

やっぱり…

 

この体験でずいぶん大人になれたし、精神的に安定するようになった。今もまさに学びつつあるが、人生はシンプルであると考えるようになった。今この瞬間に意識を起き続ければ、人生は常に拓けていくと思う。思うような人生にはならないかもしれないが、それ自体が実は自分には関係がない。人生は今にあり過去にも未来にもない

「~たら」「~れば」など、過去と未来のことで考えてもあまり意味がないことを考えすぎてしまうこと、ありますよね。

そういうあまり意味がないことでも、対峙し向き合うことで、色々な物事についてシンプルに考えられるようになるのかもしれません。

【TAMESUE『THINK』』】引用記事 特集