考え始めの谷について

ゴルフ考えすぎる その他

上達の手応えを感じている人もいれば「一進一退を繰り返し、なかなか現状打破できない」人もいることでしょう。悩んでどんどん深みにはまり、そのはまった谷から抜け出せないと、楽しいはずのものも楽しくなくなってきてしまいます。

元プロ陸上選手で、世界選手権銅メダリストの為末大氏が『考え始めの谷について』述べている記事がありますので、その内容を引用しながら、ゴルフに絡めたりもしながら述べてみたいと思います。

私のパフォーマンス理論 Vol7 考え始めの谷について(TMESUE『THINK』)

 

小学生の低学年(7,8才あたり)より下の子供たちは、空き缶を潰すように走るという伝え方は理解するが、足を高く上げてはうまく理解できない。おそらく意識を外に向けることには慣れていても、身体に向けてうまく制御することに慣れていないからだ。ちなみになぜか高学年を越えてくると足を高く上げてと言えばそれなりに理解ができるようになる。この辺りで身体に意識を向けて制御できるようになるのだろうと思う

なるほど!そういえばそうですね。

 

技術を向上させる為に、私たちは自分の意識を外部から自分の身体に向ける。バットを正確に振るために、脇を締めることに意識をおく。ハードルをうまく飛ぶために腰の位置を意識する。技能上達のために考えないでやっていたことを多少なりとも意識しながら行うが、そのプロセスに深く入ると、考え始めの谷にはまることがある

ゴルフでも同様のことがいえるでしょう。

「テークバックでは腕を―――――」「切り返しでは――――――を先に動かす」など、ゴルファーそれぞれ様々なことを意識して取り組んでいると思います。

何か明確なテーマを持って取り組むことは必要である一方、そういったことを考え始めると、悩みが大きくなりやすくなりがちです。

考えれば考えるほど、深い谷はまりこみ、差し込む光が無くなっていくような状態に陥りやすくなります。

 

とかく、意識をし始めると、細かいことを気にしすぎてしまう。私は足の裏をフラットにつくべきか、前足部でつくべきかなど細かいことを気にしすぎてこじらせた。改めて考えると力のほとんどは中心で作られていて、そんな細かい末端のことはほとんど影響してない。人間の動きはシンプルで、かつ競技も考え抜けばシンプルだ

特に調子が悪いとき、「あれやこれや」と核になる部分から離れたところをいじりやすいのではないでしょうか。

「これやってみよう。なんか違う」「今度はこれやってみよう。これも違う」と、不調脱出のために慌てて目先の調整に目がいってるうちに、どんどん谷の奥深くにはまっていってしまう。そんなゴルファーは多いと思います。

シンプルに考えることで、谷にはまることを回避することができますが、為末氏が「考え抜けばシンプルだ」と言っているように、考え抜くことではじめてシンプルな原理にたどり着くことができます。

考え抜かずに、例えば誰かから聞いた原理は、それを扱う場合とても軽く薄っぺらなものになります。

 

型を作るためには誰かの型に全部染まりきった方がいい。大事なのは素直に聞くことで、それなりの年齢だとプライドもあり自分の理屈もあるが、そんなものは全部捨てて一定期間ひたすらに言われた通りにやった方がいい

まずはやってみることが大切です。

「でも――――」と、意見を返したくなるようなことも多々あるとは思いますが、「まずはやってみる」ことが大切です。指導側の説得力も重要になりますが、「この人に師事する」と、腹をくくったからには、多少納得できない点があったとしても「まずはやってみる」ことが大切です。

 

一番良くないのは中途半端にわかったふりをしてつまみ食いをする場合だ。ちぐはぐでばらばらな動きが出来上がる。自分らしくやりたいなら、染まってからあとでオリジナルを作ればいい

色々な人が提唱している色々な理論の中から、自分に都合よく色々なものをピックアップすると、ちぐはぐでばらばらな動きができあがる可能性が高いです。

各メディアを使って取り組むのであれば、人や理論を絞ってピックアップした方が良いでしょう。もちろん、直接指導を受けることの方が効果的です。

 

あれこれアドバイスをくれる人がいるが聞き流した方がいい。このタイミングでは断片的な一級アドバイスより、三級でも一貫性のあるアドバイスの方が価値がある

特にビギナーや女性は、あれこれアドバイスを受けやすいです。

そのアドバイスが的を得ていたとしても、以前からのストーリーがあっての今なので、以前から見られている指導者からの一貫性のあるアドバイスの方が価値があります。

 

諦めるわけではないけれども、考えてもしょうがないと距離をとってむしろ違うことをやる適当さが大事だ。付け加えると、定期的にバカになって夢中で競技をすることも大切で、距離を近づけたり遠ざけたり夢中になったり考えたり自在にできるようになれば、脱するのは時間の問題だ

考え始めの谷にはまると、単調で惰性的な取り組みになりがちです。

練習にメリハリをつけられるとよさそうですね。

 

それでも私は考えはじめることを進める。理由は二つある。一つは考え抜いた先には自分の型ができあがることだ

谷にはまることを恐れず、考えましょう。

考えはじめて、谷にはまったとしても、はまり、もがき、谷から抜け出すために経験したことは、血となり肉となり、強固な自分の型の形成に役立つでしょう。

 

もう一つは、言語化できるようになることだ

『上達』を表すワードの1つとして『言語化』が挙げられます。

例えば、自分の技術レベルに何か変化があった場合、「何がどうなっ結果、こうなった」ということが説明できるようになることが大切です。

「言葉では言い表せられないけれどなんか良い感じ(悪い感じ)」では、悪い変化に気づき、そしてその変化に対して正しく対応することが難しくなります。

 

考え始めに谷はあるが、それを抜け試行錯誤の末に手に入る自らの身体で遊ぶ喜びは何者にも代え難く、かつ奥が深い

もしかすると、考え始め谷にはまると、その時はゴルフが楽しくなくなるかもしれません。

しかし、きっかけをつかみ、谷を抜け出した時に得られる喜びは何ものにも代え難いものになります。

『楽しい』を超えた『幸福感』さえ得られます。

【TAMESUE『THINK』』】引用記事 特集