短所について

ゴルフ その他

ゴルフをしていると、特にゴルフスイングにおいて「ここが悪い。もっとこうしなければ」と短所を感じたり、まわりから言われたりします。

または、「短所を直したいけど直せない」「改良点を指摘されることはあるが、それは自分の特性で悪い動きではないと思うので直さない」など、短所とされていることに対する様々な向き合い方で、ゴルファーはゴルフに取り組んでいることと思います。

元プロ陸上選手で、世界選手権銅メダリストの為末大氏が『短所について』述べている記事がありますので、その内容を紹介しながら、ゴルフに置き換えたりもしながら述べてみたいと思います。


私のパフォーマンス理論 Vol5 短所について(TMESUE『THINK』)

 

 上達をしていくプロセスでは、問題となる部分を見つけ改善するので、短所は目につきやすい。一方で”短所”と”ただの特徴”の違いはわかりにくい。マイケルジョンソン独特の立ち上がったようなフォームを欠点として直そうとしたコーチも、特徴としてそのままにしようとしたコーチもいた。成功した後であれば特徴に過ぎない(もしくは強み!)とわかるが、成功する前には短所に見えていたかもしれない。

まず、マイケル・ジョンソン氏のことやマイケル・ジョンソン氏の独特なフォームを知らない人は下記リンクよりYouTube動画をご覧ください。

アトランタオリンピック1996 200m&400 m(ORYMPIC CHANNEL)

首を後傾させて、胸を反るようにして走っている、独特のフォームであることが分かると思います。

為末氏によると「欠点として直すべき」と論じていた陸上の専門家もいたようです。確かに首を後傾させると、推進力が減ってしまいそうですよね。

しかし、陸上史に輝く成績をおさめたことから「マイケル・ジョンソンのフォームは正しかった」と言えます。「直せばもっとすごかった」という意見があるのかもしれませんが……

『直すべき派』の専門家と『そのままでいい派』の専門家の、そういう見解になった理由を知りたいところです。

ゴルフ界では例えば、メジャー通算18勝のジャック・ニクラウス氏のスイングはバックスイングで左膝が大きく動きます。成功したからこそ、「パワーを出す源」「なめらかなリズムを生み出すタイミングの取り方」」と扱われていますが、もし成功していなければ、左膝の動きは短所として扱われていたかもしれません。

1990年代後半から2000年代前半にかけてUSLPGAツアーで絶対女王として活躍したアニカ・ソレンスタム氏や、1990年代後半にUSPGAツアーで活躍し、タイガー・ウッズを差し置き世界ランキング1位にもなったデビッド・デュバル選手は、インパクト前に顔が目標方向を向く動きが特徴的でした。

単純にこの動きを表現すると『ヘッドアップ』です。ヘッドアップは短所とされています。しかし、彼らの活躍で『ルックアップ』と耳障りの良い言葉に変換されて認知され、「理にかなった動き」として扱われたりしていました。

日本のジャンボ尾崎こと尾崎将司選手にしても、ダウンスイングから起き上がるようにしながらインパクトする動きが特徴的ですが、成功したからこそ「クラブヘッドと引っ張り合い、クラブの遠心力を最大限に活かす効果的な動き」と扱われています。もし成功していなければ、起き上がりが短所として扱われ「ミート率を上げるためにアドレス時の前傾角度をキープすべき」となっていたかもしれません。

 

私は子供の頃から顎を上げて走る癖があり、これさえ直せばもっと上に行けるはずだと、直したことがある、顎が上がらなくなるとなぜか特徴であったゆったりとした大きなバネのある走りができなくなった。自分なりに分析し、顎を上げることで腰が前方でロックされ、それによって腸腰筋にストレッチがかかって、足を前方に運べていたのではと仮説を立てた。それからまた顎が上がることを気にせず走るようにしたらまた昔の走りに戻った。このように短所が長所を支えていることもある。短所も全体の一部であり、短所を直せば必ず全体のバランスにも影響がある。

「顎を下げて(引いて)走るべき」というものは、どなたでもなんとなく分かるのではないでしょうか。

しかし、為末氏には合わなかったようです。『意識して顎を下げる』より『顎の上がりを気にしない』方が足の運びが良くなったのですね。

『合う動き』と『合わない動き』については後述します。

 

時代によって流行り廃りがある。その時代の頂点にいる人間の動きはお手本とみなされやすく、もしその選手と自分のタイプが違えば、違いが短所として認識されてしまう。だが、実際にはそれはただの違いだ。

タイガー・ウッズ選手全盛期では、タイガー・ウッズ選手のスイングが基準になっていました。

 

実用的な話に戻る。とはいえ競技を開始して4,5年程度であれば明らかに改善するべき点があると思うので直しておいた方がいい。やはりそのスポーツをするのであればそれぞれに押さえておかないといけない基本的な動きというものもある。自分よりレベルが上の選手を見て、その選手たちが誰もやっていない癖であれば改善すべきものである可能性が高い。反対に持ち合わせている選手がいるのであれば、ただの固有差である可能性が高い

特に初心者のうちは、必要以上に自分に合う動きと合わない動きを線引こうとしないようにしたいところです。とりあえずでも基本を押さえておけば、後々、より自分に合う動きで構成されたスイングへと変えることは可能です。

 

発展している競技であれば教科書があるので、そこに書いてあるうちの3分の2程度には改善をした方がいいだろう。ただ、日本は型を重んじてさほど影響のない癖も改善する傾向にあるので、細部は意識しなくていいと思う。大雑把には胴体と胴体から20cm程度の距離までの手足の動きは教科書的に改善した方が有利なことが多い。一方で腕や足などの末端は違いがあってもただの癖なのでほっておいて構わないと思う。特に競技開始後間もない頃は派手に動く手足の動きに目を取られがちだが、そこは中心から生まれた動きの結果に過ぎないので、気を取られてはならない

基本的には、正しい姿勢から体幹主動で動くことができると、基本要素に沿いながら自然とその人に合った動きになります。

体幹主動の結果、人それぞれの特徴が腕や足など末端の動作に現れます。その末端の動作が特徴的だったとしてもそれは短所ではありません。その人にとって必要な動きです。

先述したジャック・ニクラウス氏のスイングの左膝の動きがその例です。同氏は、体幹主動でスイングした結果、左膝が大きく動きます。

私のパフォーマンス理論 Vol2 体幹について(TMESUE『THINK』)

 

短所は癖付けによって直すしかない。熟達者でなければ頭で考えて変わることはない。なるべく因数分解し、問題となる部分だけを抜き出しコツコツ良い動きを繰り返す

一方で、局所的に動きが改善されても、全体で統合されなければ意味がないので、癖を直す練習をした後は必ず実際の競技中の動きを行なっていた。局所的に改善した結果全体としてはバランスが悪くなるということが往往にしてある。いじってはなじませ、いじってはなじませることを繰り返すことが重要だ。さらにこのようにずっと意識をしていると、丁寧にやろうとする癖がついて、我を忘れたような思いきった力が出せなくなることがある。欠点の克服は大事だが、頭でっかちになってはならない。スポーツはなんだかんだ出力が大きい人間が圧倒的に有利だから、思い切ってのびのび動くことを損ねてはならない。週に一回は全く動きを意識せず思い切って力を出す練習をやっておいた方がいいと思う

上達するためにはこの『短所を癖付けによって直す』ことが不可欠です。

気の長い取り組みになりますが、これが最短のルートです。地道にコツコツと取り組みたいところです。

特定のポイントを徹底して意識して短所を直す時間と、実戦を意識して、コースラウンドを想定した練習時間のメリハリが重要でしょう。

【TAMESUE『THINK』』】引用記事 特集