プロ・競技志向ゴルファーの理想的な練習時間

ゴルフ 練習時間 練習

”日本人は練習時間が豊富だ”という声をよく聞きます。プロゴルフ界も同様で、USPGAツアーで暗くなってからも誰もいなくなった練習グリーンで黙々とパッティング練習しているのが、同ツアーで活躍中の松山英樹選手だという情報があります。

2000年から2005年、6年連続賞金女王になった不動裕理選手は、練習の虫として有名でした。試合やコースラウンドが無い日は1日8時間練習場で練習をしていたようです。球数にすると1,000球です。

不動選手は、それを特別なこととしてではなく「会社員は1日8時間労働している。プロゴルファーは1日8時間練習するのは当然のこと」と、当たり前のこととしてこの取り組みを行っていたようですから驚きです。

練習は量か質か。

スポーツによって意見が分かれることだと思いますが、元プロ陸上選手で世界陸上銅メダリストである為末大氏がアスリートの練習時間について述べていますので、その内容をゴルフの競技性に置き換えながら考えてみたいと思います。

私のパフォーマンス理論Vol1‐練習時間について‐(TAMESUE『THINK』)

 

色々やったみて、1日2時間あればほとんどの練習効果は得られるという結論に至った

アスリートにとって時間以外で最も貴重な資源はモチベーションである。練習によって決してモチベーションをすり切らしてはならない。体よりも心の方が消耗品かつ直しにくく、致命傷になる。これが大前提にある

短めの練習時間が理想的だ、と述べています。

為末氏が言っている練習というのは、短時間で強い出力を出す競技のための練習です。ゴルフでも、ドライバーショットの練習など、比較的強い出力を出すカテゴリーもありますが、陸上競技に比べると、かなり弱い出力です。

陸上の練習とゴルフの練習を結び付けて考えることは難しい部分があります。ゴルフにおいてはコースラウンドも練習であり、パッティング練習も練習です。

競技中に強い出力を出すよりも、規律や正確性を求められるような種目は練習時間が長い方が有利な可能性がある。いわゆる練習で行うことを本番も寸分違わず行うような競技だ。新体操、アーティスティックスイミング(元シンクロナイズドスイミング)、芸術系だ。私はこの世界が全くわからないので予想でしかないが、反復により身体に覚えさせる世界は言語と一緒で壊れない範囲で長時間行うほど洗練されるのではないかと考えている。最適な練習時間がどこにあるのかはわからない

為末氏自身、こうも述べています。ゴルフもこの”正確性を求められるような種目”になります。1つのスイングをマシーンのように再現性高く繰り返すことが成績向上へとつながります。

その正確性、再現性を高めていくためには、練習では質だけでなく時間(量)も必要になります。

ただ、誰でも冒頭例に挙げた不動選手のように8時間も練習場で練習することが効果的か、というとそうではありません。

練習時間が長ければ何が重要な練習なのかを選手が意識しなくなる

制限がかかれば人は何を優先するかを考え始め、比較が始まり、より本質的に自分に必要なものを取捨選択するようになる

強い義務感だけで練習量(時間)をこなしても、目的意識が薄くなってしまいます。目的意識が明確な精神的に余裕がある状態で、量をこなすことができると効果が出やすいのではないでしょうか。

そして、自分に長い練習時間を科すと、その時間をこなしたことで、自己満足に陥りやすいことは注意したいところです。

また、そもそも”練習量をこなす体力”も必要になります。疲労感を感じながら、集中しきれない状況で練習をしてもスキル向上にはつながらず、怪我に繋がります。

日本人がエンデュランス系に強く、パワー系が弱いから練習時間が延びたのか、練習時間が長いからそうなったのかはわからないが、練習時間を長くすれば、長くできる程度の出力しか出せなくなる危険性がある。ほとんどの競技において瞬間のパワーは重要なので、練習時間を短くし時間単位の出力を高める環境を作るべきだと私は考えていた

例えばシーズンオフ。シーズンオフの課題が『飛距離アップ』のゴルファーがいるとします。そのゴルファーは毎日朝から晩まで練習する時間があるとします。

普通に練習すると、終わる時間から逆算して、自然に練習の強度を調整すると思います。

しかし、『飛距離アップ』という課題をクリアする為には「1時間ショット関連の強い出力の練習・残りの時間すべてショートゲームの練習」といったタイムテーブルで練習に取り組むことも検討してみても良いかもしれません。

 

私が幸運だったのは、才能溢れた小学生、中学生時代に指導者も家族も興奮せず、練習時間を定め、友人と遊んだり(学業はほとんどしなかったが、、)家族と過ごす時間を確保できたことだ

これはプロを目指しているジュニアゴルファーの親御さんは意識したいところです。

ジュニアゴルファーは親のすすめでゴルフを始めることが多く、自分の子供にゴルフにおいて光るものを感じると鼻息が荒くなり、子供の気持ちが置いていかれている状態で、プロを目指させるというケースが多々あります。

スキル向上云々とはまた別の、モチベーション維持の部分で、練習時間を抑えて、ゴルフから離れる時間をしっかり作るということは大切でしょう。

【TAMESUE『THINK』】引用記事 特集